日本旅行でたくさんの観光スポットを周遊するなら、新幹線や特急列車などで、県をまたぐ移動はつきもの。鉄道の旅では、車窓からの景色が目の保養ならば、車内での食事は舌の保養ともいえるかも。今回は鉄道旅のお供とも言える、「駅弁(えきべん)」の歴史から、人気の弁当、購入場所までを紹介したい。
「駅弁(Ekiben)」ってなに?
「駅弁(えきべん/Ekiben)」とは、鉄道駅や列車内で販売される鉄道旅客向けの弁当のこと。白いご飯に数種類のおかずが盛り付けられている幕ノ内弁当、おにぎりや巻き寿司の弁当など、その種類はメーカーによって様々。駅弁は、菌の繁殖を防ぐため冷却して詰められるため、冷めても大丈夫な味付けや調理方法で作られているのもポイント。そのため、温め直さなくてもそのままおいしく食べられるよ。
今は東京~新大阪間を新幹線でいくと約2時間30分程だが、新幹線がない時代の鉄道旅は、移動にもっと長い時間がかかっていた。そのため、車内飲食の需要を満たすべく、駅弁が持ち運びができる食事として考案された。その発祥については諸説あるが、最も有力とされているのが栃木県・宇都宮駅。1885年7月、日本鉄道(現JR東日本)の宇都宮駅の開業と共に、旅館の白木屋が、竹の皮で梅干し入りおにぎりとたくあんを包んだ弁当を作り販売したことが、日本の駅弁の始まりとされている。
1889年、ごはんとおかずを箱に詰めた駅弁が日本で初めて販売された。山陽鉄道(現JR山陽線)が兵庫県・姫路に敷設されたことを受け、姫路駅付近で飲食店を営んでいた竹田木八氏が鉄道客向けに販売した「幕の内弁当」が現代の駅弁の元祖だと言われている。鯛塩焼き、卵焼き、人参、梅干しなど13種類のおかずと白飯が入っており、当時ではなかなか贅沢だったという。
「駅弁」はどんな種類があるの?
日本の駅弁が誕生してから約140年。今や星の数ほど種類が増え、現在全国各地では2,000を超えると言われているが、大きく3種類に分けることができる――
- 色々な食材が詰まった「幕の内弁当」
- 牛をはじめ、鶏、豚などの肉が主役となる弁当
- 特産海産物を使った海鮮弁当
中にはアニメキャラクターとのコラボ物や、食材にだけでなく容器にまで拘った駅弁もある。ここから登場する駅弁に、あなたもよだれが止まらないはず!
① たくさんのおかずが一度で楽しめる「幕の内弁当」
白ご飯またはおにぎりと数種類のおかずを詰め合わせた駅弁の定番。歌舞伎においては芝居と芝居の間の休憩時間を「幕間(まくあい)」と呼ぶが、この「幕と幕の合間の休憩時間に食べるお弁当」という意味で「幕の内弁当」という名前になったそう(諸説あり)。おかずは、焼き魚、天ぷら、玉子焼きといった和風具材が入っている物もあれば、ハンバーグやエビフライなど洋風の惣菜が入っている物もある。
味づくし / 1,150円(税込み)
瀬戸内蛸の真ダコ、淡路島産玉ねぎ、兵庫県産黒豆など、地産地消にこだわった幕の内弁当。パッケージにプリントされている姫路城のイラストも地方旅ならではの思い出に。
② 高級な銘柄牛が手軽に食べられる!肉が主役の駅弁
神戸ビーフ、松坂牛、近江牛といった「日本三大和牛」をはじめ、米沢牛、飛騨牛、宮崎牛といった銘柄牛を使う駅弁も多数ある。約1,000円~とお手頃価格で購入できるものが多いので、手軽に高級和牛を食べ比べしたいなら要チェックだ!
但馬牛 牛めし / 1,180円(税込み)
関西のすき焼き風に炊いた兵庫県の最高級和牛・但馬牛と、出汁の味が染み込んだご飯に食欲MAX!
匠の技松阪牛物語 / 3,800円(税込み)
松阪牛と三重県産コシヒカリを使用した、加熱式すき焼き弁当。容器には加熱用のひもが付いており、引っ張ると全体が温まり約5分~8分でホカホカの弁当が楽しめる。日本最初の加熱式駅弁としても知られている。
モー太郎弁当 / 1,500円(税込み)
日本初のメロディ付き駅弁。なんとふたを開けると日本の童謡 『ふるさと』 のメロディが流れる仕組み。黒毛和牛のすき焼き肉にちなんだ牛の形のパッケージもインパクト大。
③ 海の恵みが贅沢に盛り込まれている海鮮が主役の駅弁!
海に囲まれた島国・日本を訪れるなら、各県が誇る海の幸も見逃せない。カニ、エビがたっぷり入った駅弁を食べて、舌の上で日本一周しよう。
越前かにめし / 1,380円(税込み)
福井県を代表する冬のご馳走、かに料理。※セイコガニの卵巣・みそをほぐして炊き込んだご飯に、紅ズワイガニとズワイガニの身をふんだんに使用した、全カニ好きに捧げたいカニ駅弁。
※本商品は越前がには使用していません。
※ズワイガニの雌のこと
越前甘えび×かに合戦 / 1,430円(税込み)
海鮮LOVERに堪らない甘えびと紅ずわいがにのコラボ。紅ずわいがにの爪肉はボリュームもインパクトも抜群!
- 日本旅行にぜひ食べておきたいカニ6選:(12188)
駅弁は列車の中で食べても良いの?
鉄道が誕生した明治時代(1868年~1912年)は、人前で食事することはマナーが悪いとされ、車内飲食が批判・禁止されていたが、今は電車内の飲食を禁止するルールは特に設けられていない。新幹線・特急列車は長距離移動を前提とするため、車内に飲食物を持ち込む乗客も多い。とはいえ、匂いの強い食べ物を避けたり、大きな音を立てないようにしたり、車内マナーを意識しよう。また、朝のラッシュアワーをはじめ、混んでいる車内での飲食も控えたほうが良いだろう。
電車内で飲食することが(VERY普通ORマナー違反 OR罰金が課せられる)とされる各国の読者から見たら、ちょっと意外かも?
「駅弁」はどこで買えるの?
鉄道駅はもちろん、駅弁は日本全国のスーパー、デパートや駅弁専門店などから購入できる。皆さんは旅先でどんな駅弁と出会えるのかな?
- 各県主要駅のコンビニや売店:
【東京】東京駅、新宿駅、品川駅、上野駅 ほか
【大阪】新大阪駅、梅田駅 ほか
【福岡】博多駅 ほか
【北海道】札幌駅、函館駅 ほか - 百貨店にて開催される駅弁大会や地方物産展:
京王百貨店、阪神百貨店 ほか - 大手スーパーにて開催される駅弁フェア
イオン、ユニー、イトーヨーカ堂 ほか - 駅弁専門店:
「駅弁屋 祭 グランスタ東京」(JR東京駅改札内)、「旅弁当 駅弁にぎわい」(JR新大阪駅改札内・改札外) ほか
また、日本には駅弁のほかに、空港で国内線の乗客をターゲットに発売されている「空弁(そらべん)」もある。その場で買ってすぐ食べるのも良いが、持ち帰って自宅で食べたり、お土産として友達とシェアするのもおすすめだ。ただし、ほとんどの駅弁は冷凍での長期保存が前提のため、「購入当日の夜まで」と賞味期限は短い物が多いので要注意だ。
日本の駅弁文化をもっと掘り下げたい読者がいたら、コメント欄で教えてくださいね!
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