日本の伝統芸能 歌舞伎とは?

日本の伝統芸能(でんとうげいのう)のひとつ、歌舞伎(かぶき)。
歌舞伎では、衣裳(いしょう)や話し方(はなしかた)で、誰(だれ)が何(なん)の役(やく)なのかを見分(みわ)けることができます。

庶民(しょみん)、公家(くげ)、武士(ぶし)、英雄(えいゆう)、悪者(わるもの)、僧侶(そうりょ)、遊女(ゆうじょ)などの役のなかで、とくに特徴的(とくちょうてき)な役を見(み)てきましょう。

※侍(さむらい)のこと

侍(武士)

歌舞伎の役柄は大きく分けて、立ち役(たちやく)、敵役(かたきやく)、女方(おんながた)、子役(こやく)、そして人間以外の役に分けられます。

立ち役は、男役(おとこやく)で、敵役に対して正義(せいぎ)の味方(みかた)や善人(ぜんにん)を意味(いみ)します。立ち役は、さらに実事(じつごと)、和事(わごと)、荒事(あらごと)など演技(えんぎ)によって細(こま)かいジャンルに分かれています。
侍は、ここでいう実事や荒事に分類(ぶんるい)されます。たとえば、実事は、思慮分別(しりょふんべつ)が備わった立派な人物という役柄(やくがら)です。

代表的(だいひょうてき)な役として、『仮名手本忠臣蔵(かなでほん ちゅうしんぐら)』の大星由良助(おおぼし ゆらのすけ よしかね)や、『実盛物語(さねもり ものがたり)』の斎藤別当実盛(さいとう べっとう さねもり)を挙(あ)げることができます。
『仮名手本忠臣蔵』は、江戸時代(えどじだい)に起こった赤穂浪士(あこうろうし)の討ち入り(うちいり)を、他(ほか)の時代(じだい)に設定(せってい)を変えて描いた敵討ち(かたきうち)の物語。

大星由良助のモデルは、赤穂藩の家老(かろう)、大石 内蔵助(おおいし くらのすけ)です。
大星由良助が着ている衣装は、武士の正装。そして、衣装には、大石家の家紋、「右二つ巴(みぎふたつどもえ)が付いています。歌舞伎といえば、華(はな)やかな化粧(けしょう)も見どころの一つ(ひとつ)ですが、実事の化粧は控え目(ひかえめ)となっています。

これに対し、荒事(あらごと)の主人公は、顔(かお)に大胆(だいたん)な隈取(くまどり)をし、衣装もとても華(はな)やかです。超人的(ちょうじんてき)な強さ(つよさ)を持った人物を表現するため、動作(どうさ)やセリフも豪快(ごうかい)。そのため、やや大(おお)げさに感(かん)じるかもしれません。

ヒーローと悪者

荒事なかでも、正義(せいぎ)の味方(みかた)を代表するのが、『暫(しばらく)』の主人公、鎌倉権五郎景政(かまくら ごんごろう かげまさ)です。

正義の味方が、悪役(あくやく)を懲(こ)らしめる分(わ)かりやすい物語の展開のことを、日本では「勧善懲悪(かんぜんちょうあく)」と言いますが、『暫』はまさに勧善懲悪のスト―リーです。

罪(つみ)のない人々がピンチに陥(おちい)り、まさに首(くび)を刎(は)ねられようとした時、「しばらく」というかけ声(かけごえ)とともに、鎌倉権五郎が登場し、ピンチを救います。物語のクライマックスは「見得(みえ)を切(き)る」シーン。鎌倉権五郎が、舞台(ぶたい)の中央(ちゅうおう)で左足(ひだりあし)を踏(ふ)み出(だ)し、左手(ひだりて)で刀(かたな)を握(にぎ)り、右手(みぎて)を後(うし)ろに張(は)る、豪快(ごうかい)な「元禄見得」を切ります。

反対(はんたい)に、悪役(あくやく)で知(し)られているのは、石川五右衛門(いしかわ ごえもん)です。悪役と言っても、金持ち(かねもち)だけを狙う天下(てんか)の大盗賊(だいとうぞく)。憎めないキャラクターとして描かれています。実在(じつざい)したとされる盗賊(とうぞく)をモデルにした役で、独特(どくとく)の髪型(かみがた)と衣装(いしょう)などでも有名です。

ヒーローが赤(あか)い隈取(くまどり)をするのに対して、悪役の隈取は、青色(あおいろ)を使います。青色の中でも濃(こ)い色・藍色(あいいろ)の隈取は悪役の中でも身分(みぶん)の高い悪役に使われ、「公家悪(くげあく)がこれに当たります。

庶民と公家

庶民の代表といえば、『心中天網島(しんじゅう てんの あみじま)』に出てくる紙屋治兵衛(かみや じへい)。治兵衛は、大阪(おおさか)で紙屋を営む(いとなむ)庶民です。「和事(わごと)」の代表的な役としても有名で、妻(つま)と子ども(こども)がいるのに、遊女(ゆうじょ)に入れ込んで、最後(さいご)は心中(しんじゅう)してしまうという役柄です。

恋愛描写(れんあいびょうしゃ)が多い和事では、男役の化粧にも、薄く紅(べに)を混ぜたり、目張りや口に紅を指すことで、色気(いろけ)を表現(ひょうげん)します。
公家(くげ)とは、天皇(てんのう)に仕(つか)える高(たか)い身分(みぶん)の貴族(きぞく)のこと。貴族を表すときには、眉(まゆ)の上(うえ)に、薄(うす)く、丸(まる)い眉をもう1つ描く、「位星(くらいぼし)」という化粧を用いることも特色です。

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