47都道府県を有し、地域ごとに風土や文化が異なる日本。土地が違えば、気候、習慣、言語ももちろん違ってくる。

大阪・京都といった近畿地方を中心に使われる関西弁(かんさいべん)を含め、過去には文章の語尾に「じゃん」や「だべ」をつける神奈川県民や、キノコのことをMossと言う石川県民について紹介してきた。本記事では改めて「日本の方言」とは何なのかを解説し、「Good Morning」、「Excuse Me」、「Thank You」など、旅行に役立つ挨拶フレーズもご紹介!

日本には「~方言」はどれぐらいあるの?

日本には「~方言」はどれぐらいあるの?

全国どの都道府県でも通用する「標準語」に対して、地域ごとで単語やアクセントが異なる言葉のことを「方言」と呼ぶ。日本語は、これまで様々な研究がなされてきたが、方言研究の世界では、明治時代の国語学者の東条操氏が文法・語彙などをもとに1953年に発表した「方言区画論」が最も利用されている。東条操氏によると、日本の方言はまず大きく「本土方言」と「琉球方言(沖縄諸島や先島諸島 、鹿児島県奄美群島など、かつて琉球王国があったエリアで用いられる諸言語)」と2種類に分けることができる。

2つのうち「本土方言」は、「東部方言」、「西部方言」、「九州方言」と大きく3種類に分けられる。これらは、「北海道方言」、「東北方言」、「関東方言」、「東海・東山方言 」「近畿方言」、「四国方言」のように、さらに細かく分類でき、本土方言と琉球方言で、合計16種類の方言区画に分類できる。

日本には「~方言」はどれぐらいあるの?

「○○弁」は、この「方言」より細かく分かれた、地域や都道府県ごとに使われる言葉だ。

例えば、北は北海道弁(北海道)や津軽弁(青森県)、南は鹿児島弁(鹿児島県)など、その数は日本全国に約140もあると言われている。たとえ同じ「北海道弁」であっても、内陸部(札幌・旭川・帯広など)と海岸部(函館・室蘭・釧路など)はエリアによって、文法も言いまわしも違う。

そんな中でも、青森県の「津軽弁」は「日本一難解な方言」とも言われ、日本人でも地元の人以外はほとんど理解できないという(発音やアクセントがフランス語に似ていることから、某大手自動車メーカーのCMで、車中で流ちょうなフランス語で会話しているように見えて、実は津軽弁で会話していた、という内容のCMもあったほど)。このように同じ「日本語」といえども、方言は他県の人には通じないことも珍しくない。

そこで、ここからは方言の挨拶フレーズ(方言Ver.)をレクチャーしたい。特に、FUN! JAPAN読者に人気が高い旅行先―沖縄、福岡、愛知、青森、北海道のものをピックアップしたので、使いこなせば、現地で出会った人々に「日本語がペラペラだね!」と褒められるかも?

※一部の言い方だけピックアップしています。

(Good morning)の日本語「おはよう(ございます)/ O-ha-yo-u (Go-za-i-ma-su)」は方言で何という?

※「おはようございます / O-ha-yo-u Go-za-i-ma-su」は「おはよう / O-ha-yo-u」 より丁寧な表現。

  • 北海道:
    おはようございました / O-ha-yo-u Go-za-i-ma-shi-ta

北海道では一部の地域において「~でした / ~de-shi-ta」という過去形の言い方が丁寧な表現とされ、目上の人に対して敬意をこめた表現だそう。

  • 青森:
    おはよごす / O-ha-yo-go-su
  • 愛知:
    はやいなも / Ha-ya-i-na-mo
  • 沖縄:
    うきみそーちー / U-ki-mi-so-chi

主に沖縄本島で使われている方言で、直訳すると「起きたか?」という意味なので起きてからすぐの場合に使おう。外に出たら「はいさい / Ha-i-sa-i」(男性)或いは「はいたい / Ha-i-ta-i」(女性)を使うほうが自然だろう。

(Good afternoon / Hello)の日本語「こんにちは / Ko-n-ni-chi-wa」は方言で何という?

  • 青森:
    こんにずは / Ko-ni-zu-wa
  • 沖縄
    ちゅーうがまびら / Chu-u-ga-ma-bi-ra
    或いは はいさい / Ha-i-sa-i(男性)・はいたい / Ha-i-ta-i(女性)

「はいさい / Ha-i-sa-i」、「はいたい / Ha-i-ta-i」は朝・昼・夜、どの時間帯に使える万能な挨拶。沖縄旅行はこれさえ覚えておけばOK!

(Good evening)の日本語「こんばんは / Ko-n-ba-n-wa」は方言で何という?

  • 北海道&青森:
    おばんです / O-ba-n-de-su
    或いは おばんでした / O-ba-n-de-shi-ta

「ばん / ba-n」は、漢字の「晩」に当たる。40~50代以降の人が使うことが多く、かしこまった場や公の場での挨拶としても用いられることもあるそう。

  • 愛知:
    おしまいやす / O-shi-ma-i-ya-su

(Thank you)の日本語「ありがとう(ございます) / A-ri-ga-to-u (Go-za-i-ma-su)」は方言で何という?

※「ありがとうございます / A-ri-ga-to-u Go-za-i-ma-su」は「ありがとう / A-ri-ga-to-u」 より丁寧な表現。

  • 青森:
    ありがどーごし / A-ri-ga-do-go-shi
    或いは ありがどごす / A-ri-ga-do-go-su

このほか、相手に手間をとらせたり、迷惑をかけてしまったり時に感謝の気持ちを伝える「めやぐだ / Me-ya-gu-da」という言い方も。共通語の「迷惑だ / Me-i-wa-ku-da」(困ったもんだ)」にかなり発音が近いので、誤解してしまう県外の人も多いんだとか。

  • 沖縄:
    にふぇーでーびる / Ni-fe-de-bi-ru

沖縄本島で一般的に使われている方言だが、宮古島では「たんでぃがーたんでぃ」、石垣島では「みーふぁいゆー」、離島によって言い方は様々。

(Yummy / Tasty)の日本語「おいしい / O-i-shi-i」は方言で何という?

  • 北海道:
    (特にない)

「おいしい / O-i-shi-i」或いは同じく「Tasty」を意味する「うまい / U-ma-i」の前に「なまら / Na-ma-ra」をつけると「Very tasty」という意味になる。海鮮丼を食べた後にぜひ使ってみよう!

  • 青森:
    んめぇ / N-mee
  • 愛知:
    うみゃあ / U-mya-a

「うめゃぁがやぁ / U-mya-ga-ya」や「うみぁーっ / U-mi-a」というバリエーションもある。

  • 福岡:
    うまかー / U-ma-ka

ちなみに、日本には全国のスーパーなどでも販売されている「うまかっちゃん」という豚骨味の袋麺があるが、この商品名は「おいしいんだよ」を意味する博多弁が由来している。

  • 沖縄:
    まーさん / Ma-sa-n

「とてもおいしい」と強調したい時は、「very」を意味する「いっぺー / I-ppe」を冒頭につけて「いっぺーまーさん / I-ppe-ma-san」を言おう。

(See you / Bye bye)の日本語「また / Ma-ta」、「さようなら / Sa-yo-u-na-ra」は方言で何という?

  • 北海道:
    したっけ / Shi-ta-kke

北海道を代表する方言の1つ。別れる際の挨拶「See you」の意味のほか、「そうしたら / So-u-shi-ta-ra」的な接続詞としても使われる。

  • 青森:
    へば / He-ba

東北地方(主に青森や秋田)で広く使われている秋田弁・津軽弁・下北弁。

  • 愛知:
    ほんなら / Ho-n-na-ra

関西地方及び中部地方を中心に広く使われている方言。鹿児島で使われることも。

  • 沖縄:
    ぐぶりーさびら / Gu-bu-ri-sa-bi-ra

「さようなら」「また会いましょう」の意味が込められているほか、「Excuse me」に相当する「失礼します」としても使われる。 

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