
京都は、日本の伝統的な食文化が息づく和食の宝庫です。特に懐石料理は、京都ならではの繊細な味わいと美しい盛り付けが特徴で、季節ごとの食材を活かした料理を楽しむことができます。本記事では、懐石料理の魅力とともに、京都府で懐石料理を堪能できるおすすめのレストラン3選をご紹介します。
※記事で紹介した商品を購入したり予約をしたりすると、売上の一部がFUN! JAPANに還元されることがあります。
🚅新幹線の予約はNAVITIME Travelで!👉こちらから
懐石料理はどんな料理?会席料理やお任せとの違いは?
懐石料理とは?修行僧の知恵から生まれた「懐石」の言葉の由来

「懐石料理」は、もともと茶道の一部として発展した料理と言われています。その起源は安土桃山時代にさかのぼり、茶道を大成させた千利休によって形づくられました。千利休は、お茶を飲む前に軽く食事をとることで、濃茶をより美味しく味わえると考え、茶会の前に簡素な食事を出すようにしました。この軽い食事が「懐石」と呼ばれています。
「懐石」という言葉は、もともと禅宗の修行僧が、寒さと空腹をしのぐために温めた石(温石:おんじゃく)を懐に入れていたことに由来します。このことから、「身体を温め、空腹を和らげる」という意味合いを持ち、茶の湯の場における軽い食事にも、その名が用いられるようになったと言われています。
千利休が催した茶会では、この「懐石」が客人をもてなすための食事として供され、これが「茶懐石(ちゃかいせき)」の始まりとされています。その後、時代とともに洗練され、現在のような「懐石料理」と発展を遂げました。
懐石料理と会席料理の違いとは。おまかせは懐石料理?

懐石料理とよく混同されるのが「会席料理」です。どちらも日本の伝統的なコース料理で、発音が同じため間違いやすいですが、その成り立ちと目的には明確な違いがあります。
懐石料理は、先述の通り、茶の湯の席で提供される料理がルーツです。お茶を美味しくいただくための料理であり、一汁三菜を基本とした質素で上品な構成となっています。素材の旬を大切にし、それぞれの持ち味を最大限に引き出す調理法が用いられ、器や盛り付けにも細やかな心配りがなされています。食事の進行も、お茶の時間を考慮して緩やかに進められます。
一方、会席料理は、宴会などでお酒を楽しむための料理です。懐石料理が質素さを重んじるのに対し、会席料理はより華やかで品数も多く、刺身や焼き物、揚げ物など、様々な調理法の料理が提供されます。食事自体が目的となることが多く、会話を楽しみながら賑やかに食事が進められます。
では、「おまかせ」は懐石料理なのでしょうか?
「おまかせ」は、料理人がその日のおすすめや旬の食材を考慮して献立を組み立てる提供スタイルを指します。懐石料理の店でおまかせを頼むこともあれば、会席料理の店や、その他のジャンルの飲食店でおまかせを頼むこともあります。したがって、「おまかせ」という言葉自体は料理の種類を指すものではなく、注文方法を示す言葉です。
懐石料理は何品ある?懐石料理の流れと食べる順番
基本的な構成
懐石料理の基本は「一汁三菜(いちじゅうさんさい)」です。これは、ご飯・汁物・おかず3品(主菜・副菜二品)で構成される日本の伝統的な食事スタイルです。懐石料理ではこれを基本としながら、さらに季節の素材やおもてなしの要素を加え、ふさわしい流れで料理が出されます。
懐石料理の流れと食べる順番
懐石料理は、決まった順番で一品ずつ提供されるのが特徴です。以下に代表的な流れをご紹介します。
1. 折敷(おしき)
最初に、ご飯・汁・向付(むこうづけ)が「折敷」と呼ばれるお膳に載せられて出されます。向付は、新鮮な旬の魚を使ったお造りや刺身です
2. 椀盛(わんもり)

蓋つきの椀で出される、懐石料理の中心的料理の一つです。季節の食材を使った上品な味わいの煮物や蒸し物などが入っており、出汁の風味をじっくりと味わいます。
3. 焼き物(やきもの)
旬の魚などを使った焼き物です。香ばしさと素材本来の味わいを楽しめる一品で、盛り付けや器にも季節感が表現されます。
4. 強肴(しいざかな)
「強いてもう一品勧める肴」という意味で、「進め肴(すすめざかな)」とも呼ばれます。 肴とは魚に限らず、主に炊き合わせや酢の物が献立として登場します。ここで、お酒をいただくことが多いです。
5. 吸い物(すいもの)
食事の最後に出した吸物、口休めのさっぱりとした味わいです。
6. 八寸(はっすん)

正方形の八寸の器に、季節の肴や珍味などが数種類盛り合わせられたものです。お酒とともに楽しめます。
7. 湯桶(ゆおけ)・香の物(こうのもの)
湯桶とは、残る米をおこげにし、お湯をかけていただくものです。香の物は漬物を指します。
8. 主菓子(おもがし)・濃茶(こいちゃ)

食後の甘味として、季節の美しい主菓子と、濃茶が出されます。主菓子は濃厚なお茶の味わいに合うよう、しっかりとした甘さの和菓子が用意されます。
懐石料理のマナーや楽しみ方
服装
懐石料理をいただく際に服装の決まりはありませんが、格式ある料亭や茶席など、静かで落ち着いた空間でいただくことが多いため、服装もその場にふさわしいものが求められます。派手な柄や過度な露出のある服装、強い香りの香水は控えるのがマナーです。また、器や漆器を傷つけないよう、アクセサリーは事前に外しておくべきです。
和室で食事をする場合は、必ず靴下やストッキングを着用しましょう。
食事中の注意点
おしぼりの使い方:おしぼりは手を拭くためのもので、顔や首、テーブルなどを拭くのはマナー違反です。
お箸の使い方:お箸は指先で丁寧に持ち、使わないときは箸置きに置きましょう(器に置くのは避けます)。刺し箸、寄せ箸、迷い箸などはマナー違反とされているため注意が必要です。
器の扱い方:食べ終えた器は重ねず、元に戻すのが基本です。器を持つときは、はじめに両手で持ち上げ、その後は左手で支えるのが正しい作法です。お椀や小鉢などは持っていただいて構いませんが、大皿や大鉢は持ち上げず、置いたまま食べましょう。
京都府で懐石料理を楽しめるレストラン3選
①祇園 にしかわ

【祇園にしかわ】は「祇園さん」と呼ばれる八坂神社へと続く下河原通、路地の奥に佇む会席料理の店。主人の西川正芳さんは、京都の名店で修業を積み、料理長を経て、若くして独立。店は独立後わずか1年でミシュランに掲載されたという京料理界の精鋭です。その日の仕入れにより献立を決め、「少しずついろいろな味を楽しんでいただきたい」と、夜なら14品ほどのコースに仕立てて提供。その一品一品は素材のよさを生かし、味付けや盛り付けにどこか遊び心を加えた独自の感性で食べる楽しさを満喫させてくれます。建物は竹や檜などさまざまな木を贅沢に用いた数寄屋造り。どの部屋からも坪庭が望め季節のお軸が飾られるなど京の粋が満ちています。

祇園 にしかわ
- 住所:京都府京都市東山区下河原通八坂鳥居前下ル下河原町473
- アクセス:京阪本線 祇園四条駅から徒歩15分
- 営業時間:平日・土・祝・祝前
ランチ 12:00~15:00 ※12時来店でお願いします。
ディナー 18:00~20:00 (L.O.20:00) ※お料理はお客様のペースでご提供いたします。 - 定休日:日曜日、月曜日のお昼(日曜日が祝日の場合は翌日)
- 平均予算:
【ディナー】33,000円~(税サ込、時価変動有)
【ランチ】12,650円~(税サ込、時価変動有)
②京甲屋 いけ田


京甲屋いけ田は「京の台所」と親しまれている錦市場にほど近く中京区堺町通り六角にございます。旬にこだわったお料理を築100年の京町屋を改装した趣漂う空間でお楽しみ下さいませ。 希少な各地の日本酒、ワインなど多数取り揃えております。

京甲屋 いけ田
- 住所:京都府京都市中京区甲屋町390
- アクセス:
阪急京都線 烏丸駅から徒歩7分
京阪本線 祇園四条駅から徒歩11分 - 営業時間:月~水・金~日・祝
ランチ 12:00~14:30 (L.O.13:30)
ディナー 17:30~22:00 (L.O.21:00) - 定休日:木曜日、毎週木曜日・第3水曜日・毎月1日
- 平均予算:
【ディナー】15000円
【ランチ】6000円
③瓢亭 本店


450年ほど前に腰掛茶屋として暖簾を掲げた【瓢亭 本店】。長きにわたって研ぎ澄まされた料理は、今や京料理の代表と謳われ、名物の『瓢亭玉子』や、季節限定の『朝がゆ』などは世界にその名が轟きます。京都府無形文化財保持者にも認定された高橋英一氏から後を継いだ15代目の義弘氏もその歴史と味を継承。一方で、新たな味の研究にも意欲的で、例えば『明石鯛へぎ造り』には従来の土佐醤油に加え、トマト醤油を添えています。その心は「時代とともに変わるお客様のニーズに応えたい」という料理人としての真摯な思い。しがらみに捉われず、今ある最大限でお客様に満足してほしいという姿勢に、一期一会、おもてなしの思いが息づいています。

瓢亭 本店
- 住所:京都府京都市左京区南禅寺草川町35
- アクセス:京都市営地下鉄東西線 蹴上駅から徒歩10分
- 営業時間:11:00~ (L.O.19:30)
※朝がゆ(7/1~8/31)8:00~10:00/うずらがゆ(12/1~3/15)11:00~14:00 - 定休日:不定休
- 平均予算:【通常】23000円
<参考文献>
・懐石料理とは?会席料理との違いは?献立の順番・マナーを解説(くらひろ)https://kurahiro.tepco.co.jp/life/15802/index.html
・日本の伝統料理「懐石料理」とは?知っておくべき料理の構成とマナー(Good Luck Trip)https://www.gltjp.com/ja/article/item/20750/
・懐石料理と会席料理の違いは? 知っておきたい由来やマナーを解説!(agataJapan.tokyo)https://agatajapan.com/tokyo/column/kaisekiryorimanners
Comments