「藍染」とは?工程や歴史、有名な産地など【日本の伝統工芸】

日本の伝統文化 藍染

藍染は日本を代表する伝統工芸のひとつです。深く美しい藍色は、私たちの心を惹きつけます。独特の風合いを持つ藍染は、手ぬぐい、浴衣、風呂敷、赤ちゃんの産着など、古くから日本人の生活に密着してきました。サッカーの日本代表のユニフォームである「サムライブルー」も、この藍色にルーツがあります。この記事では、藍染の歴史や文化、効能、現在の暮らしに取り入れる方法などをご紹介します。

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藍染とは?

藍染 植物 タデアイ
※画像はイメージです

藍染とは、藍という植物から抽出した染料を用いて布などを染める伝統的な染色技法です。また、染められた布地そのものも藍染と呼ばれています。深く美しい藍染の青色は「ジャパンブルー」とも呼ばれ、日本を象徴する色の一つとして世界中で愛されています。

藍染の主な原料は、タデ科の植物であるアイです。アイには、タデアイ、インドアイ、ウォードなど様々な種類がありますが、日本では主にタデアイが用いられます。タデアイは北海道、青森県、兵庫県、徳島県、沖縄県で生産されています。

元々、アイは世界各地に自生し古来より多くの効能をもつ薬草として用いられてきました。日本でも、染めの原料としてだけではなく煎じて飲んだり食べたりと、古くから人々の暮らしに欠かせない大切な存在でした。

藍染の工程

藍染 工程

藍染の工程は、アイの栽培から染色まで多岐にわたります。

1.アイの栽培:3月上旬頃アイの種をまき、丁寧に育てます。

2.藍の乾燥・発酵6月下旬から夏にかけて 刈り取ったアイを乾燥させ、発酵させて染料となる「蒅(すくも)」を作ります。

3.藍甕の準備蒅を藍甕(あいがめ)※1に入れ、灰汁や石灰などを加えて発酵させ、染液を作ります。

4.染色布を染液に浸し、空気に触れさせて発色させます。この工程を10〜20回ほど繰り返し、好みの濃さに染め上げます。

5.水洗い・乾燥染め上がった布を水洗いし、乾燥させます。

※1 染料の藍汁を貯めておくかめのこと

藍染の歴史

藍染の歴史
※画像はイメージです

藍染の起源は大変古く、世界的には紀元前3000年頃インダス文明の遺跡からも藍染の染色槽跡が発見されています。古代エジプトでは、ツタンカーメンのミイラにも藍染の布が使用されていました。日本へは、シルクロードを経て飛鳥時代〜奈良時代に中国から伝えられたといわれています。

日本に伝来した当初は、貴族文化が中心でした。平安時代には主に宮廷や上流貴族が身に着ける高貴な色でした。法隆寺や正倉院には、当時の藍で染められた布類が多数保存されています。

江戸時代になると、同時期に普及してきた木綿布と相性がよかったため、藍染は庶民の間で広く普及し生活に欠かせない身近なものとなりました。衣類や雑貨、特に、武士の鎧下や庶民の普段着である着物、帯、仕事着、浴衣、のれんなど、様々な用途で藍染が使われました。しかし、明治時代になると合成染料が使用されるようになり、また安価で早く濃く染まるインド藍が用いられるようになったため、国内での生産量が激減し伝統的な藍染は衰退していきました。

日本の文化と地域との結びつき

藍染 阿波 徳島県
阿波藍

藍染は日本の文化や生活に深く根付いています。藍染の着物や暖簾、手ぬぐいなどは、日本の伝統的な美意識を今に伝えています。

地域産業とも深く結びつきがあり、日本全国その土地の気候や風土に合わせ、地元の人々によって独自の藍文化が育まれてきました。特に、徳島県の「阿波藍」や島根県の「出雲織」が知られています。埼玉県の「武州藍」も、有名な産地として知られています。埼玉県深谷市は現在の一万円札の顔として知られる渋沢栄一氏の出身地であり、藍玉の取引でも大変栄えました。

藍染の効能

藍染 効能
阿波藍

藍染には見た目の美しい色彩だけでなく、様々な効能があります。

抗菌・防虫効果

天然の抗菌・防虫効果があるため、衣類や寝具などを清潔に保つ効果が期待できます。江戸時代では、防虫用に藍染の着物を箪笥に入れたり、虫や蛇除けのため、田畑の仕事をする際、藍染めの着物や手甲(てこう)、脚絆(きゃはん)を身に着けました。藍染は生活に欠かせない必須アイテムでした。

店先や部屋の境界に日よけや目隠しのために吊り下げる暖簾にも、藍染が使用されていました。呉服屋では着物につく虫や蚊を除けるために、飲食店では商品に虫が寄り付かない効果がありました。

また、虫よけの効果だけでなく丈夫さや清潔を保つため、武士は鎧の下に藍染の肌着を着て身を守りました。藍の「トリプタンスリン」成分による抗炎症作用や抗菌作用も期待され、コロナ渦には藍のマスクが注目されました。

藍染は使い込み洗濯を繰り返すうちに、色が落ち着き柔らかく肌になじみます。そのため、藍染で作った大風呂敷は赤ちゃんの湯揚げとして使われました。赤ちゃんの肌に優しく防臭や抗菌作用があるので藍染の産着が見直されています。

消臭効果

藍染には消臭効果があり、汗や体臭などを抑える効果が期待できます。防臭効果があるため、藍染の靴下は人気があります。

紫外線防止効果

藍染には、紫外線を防止する効果もあり日焼け対策にも役立ちます。藍染の日傘や帽子、アームカバーなどがおすすめです。

保温効果

藍染の生地は体を温かく保つ効果が期待できるため、下着や靴下の使用は冷え性に効果があるといわれています。また「火にも強く、水にも強い」特徴があり、丈夫で燃えにくく保温性が高いので、江戸時代の消防組織であった火消したちが切る半纏や、機関車の窯を炊く国鉄職員や船乗りの制服にも藍染は用いられていました。水にも強いので漁師の晴れ着も藍染でした。

リラックス効果

藍染の藍色には、リラックス効果があると言われています。藍の葉には、ポリフェノールや食物繊維が豊富に含まれているので、藍茶はノンカフェインでリラックス効果が期待できます。

薬効も期待

藍には解毒や止血などの薬効があるとも言われ、薬⽤植物として古くから、解毒や解熱、消炎のために利⽤されてきました。近年では、タデ藍の成分の研究が進み、抗酸化物質であるポリフェノールや、抗菌物質であるトリプタンスリンが含まれていることがわかっています。漢方として敏感肌やアトピー性皮膚炎の方にもよいとされています。

暮らしの中に藍をとりいれる

戦後の高度経済成長を経て暮らしが便利になり藍の効能は次第に忘れられ、現代では藍について多くを知らない人が増えています。しかし、藍染の生地は、ファッションアイテムやインテリア用品など様々な形で活用されています。天然素材を使用しているので環境に優しい染色技法として、サステナブルな素材としても注目されています。藍染の良さを見直し、暮らしのなかに取り入れてみませんか?

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藍染使用時の注意事項

※藍染製品を使用する際は、色落ちや色移りを防ぐために購入品の注意事項をご確認ください。

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