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「卒業」という言葉は、学生生活の一区切りであり、新たな道への出発点となる特別な瞬間を意味します。日本では、卒業式は単なる式典ではなく、多くの人々にとって感動的な思い出として心に刻まれています。この記事では、「卒業」の意味から、日本の学校で行われる卒業式の詳細、卒業式で歌われる定番の卒業ソング、そして卒業を証明する大切な書類である卒業証明書など詳しく解説します。
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卒業とは
1 学校の全課程を学び終えること。「大学を卒業する」「卒業式」
2 ある段階や時期を通り過ぎること。「ボウリング通いはもう卒業した」
出典:デジタル大辞林
と記載されています。
日本では、本来の意味から派生して、日本ではアイドルが引退する際や、長年勤めた会社を離れる際など、ある集団や活動から離れることを「卒業」と表現する文化もあります。
日本の卒業式はいつ行われる?背景や日本独自の特徴
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日本の卒業式は、春(年度末の3月)に行われます。
卒業式は、教育課程をすべて修了した事を認定し、そのお祝いをする「式典」です。小中学校や高校は、体育館で行われるケースがほとんど。3月のまだ肌寒い時期、装花や紅白の幕で飾られた体育館は、厳かな空気に包まれていて特別な雰囲気です。厳粛な式典ですから、卒業生は袴や制服など改まった場にふさわしい服装や身だしなみで参列します。教員や保護者、在校生もフォーマルな装いで出席するのがマナーとされています。
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小・中学校と高校では「卒業証書」が授与されるため、正式には「卒業証書授与式」といいますが、一般的には「卒業式」と呼ばれています。同様に、大学では「学位記」が授与されるため、正式には「学位授与式」と呼ばれます。
ちなみに、渡された卒業証書は折れたりしないよう丈夫な筒も一緒に配布され、卒業生達はその中に丸めた卒業書を入れて保管します。卒業に関する写真やイラストなどに描かれている黒い筒は、卒業証書を入れたものです。
式典の内容は、卒業証書等の授与と、校長先生や来賓からの祝辞、在校生からの送辞と卒業生の答辞、合唱などです。地域ごとの特色もあり、沖縄では卒業生が一斉にブレザーを投げる「ブレザー投げ」、長野では小学校の卒業式に中学校の制服を着用するという文化があるようです。
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卒業式の文化的意味
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卒業式は学業の修了を祝うことだけが目的ではなく、「別れ」を惜しみ、「始まり」への期待感を高めるという、心が大きく動かされるシーンとしての側面も非常に大きいものです。たくさんの時間を一緒に過ごした友達や、お世話になった先生と離れ離れになってしまうという寂しさや感謝の気持ち、進学や就職など新しい生活が始まることへの期待感や不安感など、さまざまな感情が込み上げてきて、涙を流す人も多いもの。卒業式に涙はつきものです。
中でも、後輩からの心のこもった送辞や、卒業生全員の気持ちを代表して述べる答辞、先生からの贈る言葉などは、学校生活の様々な記憶がよみがえってきて感慨深い気持ちになる人も多いでしょう。卒業式は単なる式典ではなく、様々な感情を共有する場でもあるのです。
卒業ソングとその役割
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卒業式の最も感動的なシーンの一つが合唱です。
「仰げば尊し」歌詞(一部抜粋) 作詞・作曲:不詳
古くから歌われている卒業ソングとしては「仰げば尊し」や「蛍の光」。先生や学校を敬い、勉学に励んだ日々を思い返し、別れを惜しむ気持ちが込められています。
あおげば 尊し わが師の恩
教えの庭にも はや幾年
思えば いと疾し この年月
今こそ 別れめ いざさらば
「旅立ちの日に」歌詞(一部抜粋) 作詞:小嶋登、作曲:坂本(現・高橋)浩美
後に生まれた卒業ソングとしては「旅立ちの日に」。1991年に埼玉県の中学校の先生が作った合唱曲で、次第に全国で歌われるようになりました。生徒たちの未来に期待を込めて見送る先生の気持ちや、感情をぶつけ合った友達とのかけがえのない日々を胸に新しい一歩を踏み出す生徒たちの気持ちが、寂しさや希望、活力が感じられるメロディで表現されている歌です。
白い光の中に 山並みは萌えて
はるかな空の果てまでも 君は飛び立つ
限りなく青い空に 心ふるわせ
自由をかける鳥よ 振り返ることもせず
勇気を翼に込めて 希望の風に乗り
この広い大空に 夢を託して
「3月9日」歌詞(一部抜粋) 作詞・作曲:藤巻亮太 編曲:レミオロメン
そのほか、最近ではポップス曲も卒業ソングとして定着しています。レミオロメンの「3月9日」や、いきものがかりの「YELL」などが代表的ですね。いずれも、かけがえのない時間への恋しさや、新しい生活への期待感が込められた曲で、卒業のシーンで込み上げる感情が表現されています。
新たな世界の入口に立ち
気づいたことは 1人じゃないってこと
瞳を閉じれば あなたが
まぶたのうらに いることで
どれほど強くなれたでしょう
あなたにとって私も そうでありたい
「YELL」歌詞(一部抜粋) 作詞・作曲:水野良樹(いきものがかり)
「“わたし”は今 どこに在るの」と
踏みしめた足跡を 何度も見つめ返す
枯葉を抱き 秋めく窓辺に かじかんだ指先で 夢を描いた
翼はあるのに 飛べずにいるんだ ひとりになるのが 恐くて つらくて
優しいひだまりに 肩寄せる日々を 越えて 僕ら 孤独な夢へと歩く
サヨナラは悲しい言葉じゃない それぞれの夢へと僕らを繋ぐ YELL
ともに過ごした日々を胸に抱いて
飛び立つよ 独りで 未来(つぎ)の 空へ
外国との卒業文化の比較
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日本の卒業式は、涙を流しながら別れを惜しむという側面がありますが、これは世界的に見ると珍しいようです。海外の卒業式は、お祝いという意味合いが日本よりも強く、ステージ上で在校生による演劇や歌の披露で卒業生を楽しませる時間が設けられているという国もあるよう。節目を大切にして厳粛な式典を行う日本では、入退場の仕方やお辞儀のタイミング、合唱などの練習を何度も重ねて作り上げるものですが……これは日本特有の文化といえるでしょう。
好きな人の第二ボタンをもらう
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また、日本独特の文化といえば、「好きな人の第二ボタンをもらう」というもの。卒業式の日に、男子学生の制服の定番である「学ラン」の上から2番目のボタンを意中の相手に贈って気持ちを伝えるというものです。いつも身に着けていた制服の一部を男子生徒が女子生徒に贈ることで思いを伝えることもあれば、女子生徒が憧れの男子生徒に「第二ボタンをください」をお願いすることで、その思いを伝えることもあります。なぜ第二ボタンなのかについては諸説ありますが、心臓に最も近い位置にあるため、その人の心の傍にあったもの、という意味が込められているという説が有力です。
卒業式後の慣習
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日本では、卒業式の後は記念撮影をするのは定番。クラスごとや仲の良い友達、担任の先生、保護者などと記念に写真を撮ります。また、夕方から夜にかけて「謝恩会」というパーティが開かれることもあります。これは、卒業生や保護者が恩師である先生に対し、感謝の意を伝えるために開くもので、レストランやホテルなどで開催されることが多いです。歌やダンスなどの出し物をしたり、恩師に感謝の気持ちを伝えるプレゼントを贈ったりします。卒業式は別れを惜しみ厳かな雰囲気で行われますが、謝恩会はカジュアルでにぎやかな雰囲気で楽しむことが多いですよ。
また、大学生は「卒業旅行」と題し、仲の良い友人同士や研究室のメンバーなどで旅行に行くことも。大学4年生は、卒業論文が無事提出できれば、とらなければいけない授業もほとんど無く、時間の余裕ができる学生がほとんどです。新年度になれば就職や大学院への進学で忙しくなるので、思い出作りのためにも大学生のうちに海外などへ旅行に行く人も多いようですよ。
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日本人にとっての「卒業」に対する価値観や、「卒業式」について紹介しました。身近な「卒業」というテーマから、改めて日本文化のユニークさを感じることができますね。
参考文献:
有本真紀 著『卒業式の歴史学』初版,講談社,2013,264ページ
森田正信(京都大学理事) 著『地域連携教育研究「研究報告>学校文化の地域性と起源」』 ,京都大学学際融合教育研究推進センター地域連携教育研究推進ユニット,発行日2018/2/28(参照日2025/1/15) https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/233653
冠婚葬祭総合研究所『少子高齢化や無縁社会など現代の課題が儀式文化にあたえる影響や将来の動向について 第2章卒業式』,最終アクセス2018/5/30(参照日2025/1/15) https://www.ceremony-ri.jp/study-result/archive/papers2017/
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