【ひな祭り完全ガイド】行事の由来からひな人形の飾り方、料理、楽しみ方まで徹底解説

女の子の成長を願う日本の行事「ひな祭り」。3月3日が「桃の節句」としてお祝いされるようになった由来や歴史、ひな人形の飾り方、ひな祭りに欠かせない料理などの解説から、現代の楽しみ方までご紹介します。

ひな祭りとは?分かりやすく説明

「3月3日」に行われるひな祭りは女の子の健康と成長を祈る行事で、「桃の節句」ともいわれています。女の子のいる家庭ではひな人形やひし餅を飾ったり、ちらし寿司やひなあられ、はまぐりのお吸い物を食べたりしてお祝いするのが定番です。

ひな祭りの由来と歴史

ひな祭りの起源は古代中国の風習

ひな祭りの起源をたどると、今から1000年以上前の平安時代中期にまでさかのぼり、古代中国で行われていた「上巳節(じょうしせつ)」という風習が元になったといわれています。古く中国では「上巳(じょうし)」の日が忌日とされており、そのけがれを祓うために水辺で体を清め、厄払いが行われていたそうです。「上巳」の日は時代とともに変化しましたが、現代では3月3日と定められています。

ひな祭りの歴史

平安時代の「曲水の宴」の様子 出典:冷泉為恭 画『公事十二ケ月絵巻』,写. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2542608 (参照 2024-12-16)

これが日本に伝わり、平安貴族の間ではこの「上巳」の日に、「曲水の宴(ごくすいのえん)」という遊びが行われるようになりました。「曲水の宴」というのは、曲がりくねった小川のほとりに参加者が座って、川の上流からお酒の入った盃が流され、自分の目の前を通るまでに和歌や漢詩を作り、その杯をとってお酒を飲むという風流な遊びです。

また、この日に桃酒を飲んだり、よもぎ餅を食べたりして体の邪気を祓うという習慣もあったようです。

江戸時代の豪華絢爛なひな祭りの様子 出典:歌川豊国(三世) 画『三ツ會姫、ひゐな遊びの図 』(文久元年・1861年),越嘉. 東京都立中央図書館 https://archive.library.metro.tokyo.lg.jp/da/detail?tilcod=0000000003-00219842(参照 2024-12-16)

一方、日本では古くから土や紙で作った人形(ひとがた)に、けがれを移して川に流すという風習があり、これがいつしか「上巳節」と結びついたとされています。

また、小さな女の子の人形遊びをかつては「ひいな遊び(雛遊び)」と呼んでいました。やがて人形作りの技術の発展とともに人形を保管したり飾ったりするようになり、室町時代の頃になるとひな祭りという形が成立します。江戸時代には、武家や貴族の間で盛大にひな祭りをお祝いするようになり、やがて一般家庭にも定着したといわれています。

ひな人形を飾る意味や飾り方

ひな人形を飾る意味。いつ片づける?

現代では、子どもを病気や事故などの災いから守り、将来幸せな家庭を築けるようにという両親の願いを込めて飾られるようになったひな人形。そもそも厄払いの意味があるため、ひな祭りの日より前に準備して、終わったら早めに片づけるのがよいとされています。

また、親や姉妹の人形を受け継がず、1人の女の子に対して1組のひな人形を用意するのも、人形が身代わりとなって厄を受けるためだといわれています。

桃の花とひし餅の意味

ひな祭りにはひな人形と一緒に桃の花を飾る風習もあります。古代中国で行われていた「上巳節」において、邪気を祓う効果があると考えられていた桃酒やよもぎ餅を食べる風習が由来しているといわれています。日本でも古くから桃には魔除けの力があると考えられてきました。また、ちょうど桃の花が咲く季節と重なることも要因の一つでしょう。

カラフルなひし形の餅を三段に重ねたひし餅は、食べるというより飾る場合が多く、ひな飾りのセットの中にも含まれている場合があります。

配色には意味があり、ピンクは疫病除けや魔除けの意味、白は清浄、よもぎの緑は邪気を祓う意味を表すそう。また3色の順番には、雪(白)の下に新芽(緑)が芽吹き、桃の花(ピンク)が咲くというの情景を表すともいわれています。

ひな祭りの準備と飾り方

現代のひな人形の種類

現代の雛人形では大きく分けて「関東雛」と「京雛」があります。

関東雛(かんとうびな)

  • 向かって左が男雛(おびな)、右に女雛(めびな)
  • 比較的はっきりした顔立ち

京雛(きょうびな)

  • 向かって右が男雛、左に女雛
  • 切れ長の目に、おっとりとした顔立ち

関東雛は現代の国際基準に合わせて「右上位」、京雛は日本古来の伝統を重んじて「左上位」となっています。どちらも手に入ります。

ひな人形の飾り方

親王飾り(しんのうかざり)

男雛と女雛一対だけを飾るもの。「内裏雛(だいりびな)」ともいい、御所(内裏)に住まうみかどと妃の姿を模しています。現代では住宅事情の都合もあり、特に都市部のマンション・アパートなどでは親王飾りのみを用意する家庭がほとんどです。

七段飾り

雛人形を七段に構成して飾ったもので、最も豪華なものです。「十五人飾り」とも呼ばれています。イラストのものが一般的な七段飾りです。

一段目:内裏雛

二段目:三人官女(さんにんかんじょ)

三段目:五人囃子(ごにんばやし)

四段目:随身(ずいじん、ずいしん)

五段目:仕丁(しちょう)、左近の桜・右近の橘(さこんのさくら・うこんのたちばな)

六段目・七段目:重箱、御所車(ごしょぐるま)、御駕籠(おかご) などの嫁入り道具・輿入れ道具

三段飾り

内裏雛と三人官女、ひな道具を三段に並べた飾り方のもの。親王飾りより豪華で七段飾りに比べてコンパクトなため人気です。

ひな人形を飾る時期

立春(節分の翌日、2月4日頃)から2月中旬頃までに飾るのがよいとされています。二十四節気の雨水(うすい。2月18日、19日頃)に飾るとよいといわれる地域もあります。また、前日の3月2日に飾るのは「一夜飾り」といって、お正月飾りと同様に縁起が良くないされているので避けましょう。

ひな人形の正しい飾りつけ方

特に飾り方や置き場所などに作法やルールはないようですが、人形が劣化しないよう直射日光や湿気、乾燥を避けた場所を選びましょう。

風水では、北東や東の方角に飾るとよいといわれているそうです。

ひな人形を片付ける時期はいつからいつまで?

ひな人形は、3月3日当日の晩から4日のうちに片付けてしまうのがベストとされています。難しい場合は季節の節目である春分(3月21日頃)までに片付けるとよいでしょう。

厄払いの意味合いがあるひな人形は早めに片付けた方がよい、という考えが元となり、そこから後に「ひな人形を片付けるのが遅れると婚期が遅れる」などといった言い伝えに繋がったようです。

いずれにしても、人形が傷まないよう早めの時期、それも空気が乾燥した天気の良い日に片付けましょう。

ひな人形を購入する際のポイント

昭和の時代には、ひな人形は母方の祖父母から贈られるのが一般的でしたが、現代では様々です。部屋の広さや予算に合わせて選ぶのはもちろん、キャラクターを使った雛飾りや簡易的な飾りで済ませるという家庭も増えています。家庭でよく話し合うことが重要です。

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ひな祭りの食べ物や料理とその意味

ひな祭りの定番料理とは

ひな祭りに欠かせない料理や食べ物には次のようなものが挙げられます。

  • ひなあられ
  • 草餅
  • はまぐり
  • ちらし寿司
  • 白酒

かつては旧暦3月3日に海岸へ行って磯遊びをするという風習があり、ひし餅を持ち運びやすいように砕いて揚げたのが、ひなあられの起源といわれています。

邪気を祓う意味で、よもぎの葉を使った草餅もひなまつりには欠かせない食べ物でした。

はまぐりのお吸い物を食べるのも、かつての磯遊びの名残ですが、対の貝殻しか合わないはまぐりには夫婦円満の願いも込められています。

ちらし寿司については、はっきりとした起源は分かりませんが、見た目も華やかで海老やレンコンなど縁起のよい食材が使われていることから、お祝いの食事にぴったりということで、大正時代以降に食べられるようになったようです。

白酒は、かつて桃のお酒が飲まれていたことが起源といわれていますが、ひな祭りに飲まれるようになったのは江戸時代後期以降からだそうです。

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おうちでのひな祭りの楽しみ方アイディア

100円ショップや雑貨店では、かわいくリーズナブルなひな祭りグッズが購入できます。タペストリーやガーランドなど気軽に取り入れられるグッズも種類豊富です。

子どもと一緒に楽しむためのひな祭りアクティビティ

折り紙などでひな人形を手作りしよう

画像提供:おりがみくらぶ https://www.origami-club.com/

伝統的なものから新作まで、折り紙でひな人形を作る方法はたくさんあります。小さな子どもでも簡単に作れるひな人形を一緒に作って飾ってみましょう。

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ひな祭りの絵本を読もう

ひな祭りやおひなさまに関連した絵本はたくさん出版されています。地域の図書館では季節になると特集が組まれている場合もあるので、いろいろ読み比べてみてはいかがでしょうか。

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記念撮影しよう

近年の日本では、ひな祭りなど季節のイベントでもスタジオで記念撮影したり、出張カメラマンを手配して撮影したりする人が増えています。また、安価に手に入り、簡単に着せられる着物風の子ども服もたくさん販売されているので、自宅で気軽に記念撮影しやすくなりました。

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日本全国のおすすめひな祭りイベント

楽しみ方の一つとして、ひな祭りイベントに出かけてみるのもおすすめです。全国のユニークなものや、伝統的なひな祭りイベントをご紹介します。

東京】ホテル雅叙園東京(ほてるがじょえんとうきょう) ミニチュア×百段階段~文化財に広がるちいさな世界~

川内由美子コレクション(イメージ)

東京都指定有形文化財 「百段階段」は、1935年、昭和初期に建てられた木造建築。ここでは、毎年初春の時季にひな祭りに関連する展示をすることが恒例となっています。今回の企画展では、様々なミニチュア作品が7部屋に集結。そのうちのひと部屋に、江戸期よりのおひなさまの逸品を有する川内由美子コレクションが展示されます。精巧で遊び心あふれるミニチュアの世界を楽しめます。

  • 開催場所:ホテル雅叙園東京
  • 所在地:東京都目黒区下目黒1-8-1
  • 開催期日:2025年1月18日(土)~3月9日(日) 11:00~18:00(最終受付17:30)
  • 入場料:一般1,600円、大学生・高校生1,000円、中学生・小学生800円※未就学児無料
  • アクセス:JR目黒駅から徒歩3分
  • 公式サイト:https://www.hotelgajoen-tokyo.com/
  • 公式チケットサイト:https://www.e-tix.jp/100event/small.html

静岡】伊豆稲取 雛のつるし飾りまつり(いずいなとり ひなのつるしかざりまつり)

文化公園雛の館

素盞鳴神社の石段

「雛のつるし飾り」とは雛祭りの時に雛段の両脇に人形を飾る風習で、江戸時代から伊豆稲取の地に伝わる習わし。九州柳川地区の「さげもん」、山形酒田地区の「傘福」と並び、『日本三大つるし飾り』に数えられています。期間中は文化公園雛の館ほか3か所に展示会場をオープン。さらに、「素盞鳴神社(すさのおじんじゃ)」参道にある118段の石段にずらりと並ぶ雛飾りも圧巻です。

  • 開催場所:文化公園雛の館、素盞鳴神社、ほか
  • 所在地:【文化公園雛の館】静岡県賀茂郡東伊豆町稲取1729、【素盞鳴神社】静岡県賀茂郡東伊豆町稲取、ほか
  • 開催期日:2025年1月20日(月)~3月31日(月)9:00~17:00(最終受付16:30)※素盞鳴雛段飾りは2025年2月15日(土)~3月9日(日)10:00~15:00(雨天中止)
  • 入場料:会場により異なる(無料~500円)
  • アクセス:伊豆急稲取温泉駅から徒歩10~20分圏内
  • 公式サイト:https://inatorionsen.or.jp/hina/

愛知】第24回 陶のまち 瀬戸のお雛めぐり(とうのまち せとのおひなめぐり)

瀬戸蔵の「ひなミッド」

やきものや陶器を意味する「せともの」という言葉は「瀬戸(でつくられた)もの」に由来するといわれています。そんな名実ともにやきものの街、瀬戸市では、 街中をお雛さまが華やかに彩る「お雛めぐり」イベントが開催されます。

メイン会場の「瀬戸蔵」には、約800体の陶磁器・ガラスの創作雛が並ぶ高さ4mのピラミッド型巨大雛壇「ひなミッド」が登場!

また、着物レンタルのほか、各所で楽しめる雛飾り、毎週末には瀬戸焼お雛さまの手作りワークショップが開催されます。イベント期間限定の特別メニュー「お雛ランチ&スイーツ」を楽しみながら、着物で散策してみてはいかがでしょう。

  • 開催場所:瀬戸蔵、ほか
  • 所在地:【瀬戸蔵】愛知県瀬戸市蔵所町1-1、ほか
  • 開催期日:2025年2月1日(土)~3月9日(日) [時間は会場により異なる※「瀬戸蔵」は9:00~21:00]
  • 入場料:会場により異なる(無料~)
  • アクセス:名鉄瀬戸線尾張瀬戸駅 から徒歩すぐ
  • 公式サイト: http://www.seto-marutto.info/event/

京都】流し雛(ながしびな)

桟俵の雛人形
流し雛の儀の様子

「流し雛(雛流し)」とは、和紙でできた雛人形に託して水に流すことで身のけがれを浄めるという民俗行事。子どもが元気に成長することを願って、平安時代から行われていたといわれています。京都の下鴨神社では、桃の節句の日に境内の御手洗池(みたらしいけ)で流し雛が行われ、一般の参拝客も参列することができます。そのほか、鳥取の用瀬町(もちがせちょう)や東京の隅田川など一部の地域でも流し雛の行事が開催されています。

  • 開催場所:賀茂御祖神社(下鴨神社)
  • 所在地:京都府京都市左京区下鴨泉川町59
  • 開催期日:毎年3月3日 10:00受付開始、11:00 流し雛の儀
  • 料金:桟俵(さんだわら)の雛人形:大1,000円、小500円
  • アクセス:市バス「下鴨神社前」バス停から徒歩すぐ
  • 公式サイト:http://www.imamiya.jp/haruhanakyoko/event/nagashibina.htm


3月3日には女の子の健康と成長に祈りと感謝を捧げながら、楽しくお祝いしてみてくださいね。

参考文献:

田中宣一・宮田登 編『三省堂年中行事事典 改訂版』初版,三省堂,2012,全458ページ

新谷尚紀 監修『和のしきたり 日本の暦と年中行事』初版,日本文芸社,2007,全238ページ

三浦康子 監修『季節を感じて日々を楽しむ くらし歳時記』初版,成美堂出版,2024,全191ページ 

Index

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