日本で「食品ロス」が起きる原因は?現状と対策、削減のためにできること

日本で「食品ロス」が起きる原因は?現状と対策、削減のためにできること

日本は世界有数のグルメ大国として知られており、多種多様なレストランでおいしい料理を堪能できるだけでなく、コンビニでも手軽に弁当や惣菜を購入できます。また、スーパーでは新鮮で高品質な食材を手に入れ、自宅で料理を楽しむことも可能です。しかし、日本は世界でも食品ロスが多い国のひとつであり、農林水産省が公表したデータによると年間約500トンの食料を廃棄にしています。国民一人あたり毎日約114g(お茶碗一杯分)の食品を捨てているのと同じ量ですが、年間で換算すると約41kgもの食品が廃棄される計算になります。

本記事では日本での食品ロスが発生する原因と政府、企業、民間が問題解決のために行っている取り組みについて深く掘り下げていきます。

日本における食品ロスの現状

食品ロスが起きる理由は単なる需要と供給のミスマッチだけでなく、実に複雑な要因が関わっていますが、生産・流通・消費の各段階で挙げられる課題と現状はどのようなものでしょうか?

日本における食品ロスの現状

食品ロスが発生する原因

生産・流通段階

収穫時に形やサイズが基準を満たさない農作物が「規格外品」として廃棄されることがあります。また、輸送中の温度管理や梱包の不備、需要予測の誤りによる過剰生産も食品廃棄の発生につながっています。さらに、流通の段階では、賞味期限や消費期限の管理ミスにより食品が廃棄されるケースも少なくありません。

小売・外食産業

小売りや外食産業においては、消費者ニーズに応えるための過剰な在庫確保や、多様なメニュー提供が原因で食品ロスが生じます。特に、小売店では商品の「見た目」や「鮮度」が重視されます。形が崩れたり販売期限を過ぎたりするとすぐに廃棄される傾向があります。また、外食産業では大量調理後に売れ残った食品、バイキング形式で提供された食品等の廃棄が問題視されています。

消費者段階

計画的ではない購買や冷蔵庫内の食品管理の不徹底により、使い切れない食品が廃棄されることがあります。また、賞味期限や消費期限の理解不足が原因で、まだ食べられる食品を捨ててしまうケースも珍しくありません。さらに、消費者が「完璧な品質」を求める心理的な要因も、食品ロスを深刻化させる要因のひとつです。

食品ロスが引き起こす問題

環境問題(資源の浪費と地球温暖化)

食品廃棄物の処理には多大なエネルギーや水が使用されているため、資源の浪費につながっています。さらに、廃棄された食品の埋め立て・焼却により発生するメタンガスと二酸化炭素が地球温暖化を進行させる要因となっています。

経済的損失

小売業者や外食産業では、売れ残りや廃棄処分のコストが経営に負担をかけています。また、消費者が使い切れずに廃棄する食品に支払った費用も経済的損失につながっており、一世帯が排出する食品ロスは年間6万円に相当するというデータもありました。

社会的不平等

先進国で大量の食品が廃棄される一方で、発展途上国は食糧不足に苦しんでいる人々が存在しています。この「食料格差」は貧困と飢餓の悪循環を生み出し、社会的不平等を深刻化させてしまいます。

消費者の意識低下

賞味期限と消費期限の違いを十分に理解していないことや、食品が余った際の適切な保存方法を知らないことが廃棄を増やしています。また、食べ物の価値を軽視し、まだ食べられるものを簡単に捨ててしまう行動も意識の問題として挙げられ、長い間美徳とされてきた「もったいない精神」と「物を大切にする心」が失われてしまう恐れがあります。

食品ロスを解決するためには?私たちが意識すべき課題

食品ロスの削減に向けた第一歩として、まずは経済面、制度面及び消費者の意識面における課題を洗い出し、個人レベルから国全体の意識改革と実践的な行動が求められます。

食品ロスを解決するためには?

経済面

廃棄されることで無駄になるのは食品そのものだけでなく、生産や流通にかかった費用も含まれており、小売業や飲食業においても流通管理や保存技術の導入にコストがかかります。さらに、廃棄される食品と消費者をマッチングさせる「フードシェアリングサービス」を経済的に持続可能な形にすることも課題のひとつとなっています。

法律や政策面

日本には食品ロス削減を促進するための法律や政策が存在しますが、さらなる強化が求められます。例えば2019年に施行された「食品ロス削減推進法」は国や自治体、事業者、消費者が協力して食品ロスを減らすことを目指していますが、その具体的な実施状況や成果は地域ごとに差があります。その他、食品の期限表示制度の見直しや、食品ロスを削減する企業に対する税制優遇措置・補助金の提供など制度面の整備も重要です。

消費者意識

形やサイズが規格外の野菜果物は味や品質に問題がないにもかかわらず、購入を避けられがちです。また、消費者の賞味期限切れに対する過度な警戒心も食品ロスの主な要因として挙げられていますが、賞味期限は「おいしく食べられる期間」を示すものであり、適切な保存状態であれば期限を過ぎても食べられることがありますので、「賞味期限切れ=安全性に問題が出る」といった意識の改革も必要とされています。

日本政府・企業と消費者による、食品ロス削減に向けた取り組み

食品ロス問題の解決は一朝一夕で実現するものではありませんが、政府や企業の積極的な取り組み、そして消費者意識の向上によって、日本社会は着実に改善の道を歩み始めています。

日本政府・企業と消費者による、食品ロス削減に向けた取り組み

政府が実施していること

政府は食品ロス削減において重要な役割を果たします。食品ロス削減推進法のさらなる強化や、フードバンクへの寄付を促進するための法的支援だけでなく、国民向けキャンペーンや学校教育を通じた広報活動の推進にも力を入れています。ビッグデータやAI技術を活用し、食品ロスの発生量やその原因を分析したうえで、政策に反映していくことも期待されます。

企業が実施していること

生産や流通の段階で需要予測の精度を高め、廃棄を減らす仕組みを導入する企業が増えており、フードバンクへの寄贈や廃棄食品の再利用を促進する取り組みも進んでいます。さらに、食品ロスを削減するサブスクリプション型サービスといった新しいビジネスモデルの導入も資源の有効活用に寄与します。食品の正しい保存方法を積極的に発信し、消費者教育を行うことも企業側の責任であり、信頼性やブランドイメージの向上につながります。

消費者が実施できること

消費者自身も、日々の生活の中で食品ロス削減を意識した行動が求められます。具体的には必要な分だけ購入し、食べきれる量を計画的に調理するだけでなく、賞味期限と消費期限の違いを理解し、期限切れでも食べられる食品を無駄にしないことも重要です。食品廃棄が環境や社会に与える影響について知識を深め、環境に配慮した行動を意識することで、サステナブルな消費を実現できるようになります。

今日からできる食品ロス削減

「食品ロスを減らすには具体的にどうしたらいい?」という疑問を持ったら、まずは以下の5つの方法を実践してみましょう。

今日からできる食品ロス削減

食材を賢く使い切る

野菜の皮や芯には栄養素が豊富に含まれており、調理法次第でおいしく食べられるので、無駄にせず活用しましょう。じゃがいもやにんじんの皮はむかずに調理し、大根の葉やスイカの皮は漬物にするなど工夫ができます。食物繊維が多く硬いキャベツやブロッコリーの芯も煮物やスープにすれば柔らかい食感になります。

コンポスト(堆肥)を作る

家庭での生ごみを堆肥にすることで捨てる手間がなくなり、廃棄量も減らせます。自治体によっては家庭用電気式生ごみ処理機の購入に助成金(購入金額の1/2~1/3以内、限度額2~3万円まで)が出る場合がありますので、この制度をうまく利用すれば安く購入することができます。

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食べ残しを持ち帰る

外食で食べきれなかった時は、食べ残しの持ち帰りを習慣化することもひとつの対策です。ただし、飲食店によっては食中毒のリスクを考えて持ち帰りを禁止していることがあるので、無理にはお願いしないようにしましょう。持ち帰り用の容器は店舗スタッフに申し付ければ無償提供してもらえる場合もありますが、一部チェーン店ではデジタルメニューに「お持ち帰り容器」のボタンが設置されており、タブレットで購入できる仕組みになっています。

スーパー・コンビニの値引き商品を買う

50円・100円引き、20%OFF、半額など値引きシールが貼られた商品を積極的に購入することも食品ロスの削減に貢献できます。閉店間際以外にも雨の日や午前中など値引きされやすい時間帯を狙うと、高い確率で安いお弁当やお惣菜をゲットできます。

食品ロス削減に貢献できる詰合せ商品を購入する

規格外野菜や見切り品、賞味期限が近い加工食品などを詰め合わせた「食品ロス削減セット」を購入することも手軽に実践できる方法のひとつ。できるだけ早めに食べ切るように心がける必要がありますが、お得に食料が手に入り社会貢献もできるのでまさに一石二鳥です!

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