北海道は、日本で最も北に位置する都道府県です。夏は涼しく冬は気温が下がるため、四季がはっきりしている日本の中でも特徴的な気候が見られます。また、北海道は本州に次いで2番目に大きい島で、九州の約2倍の面積を持っています。そのため、同じ北海道でも地域によって気候に大きな違いがあります。この記事では、「道央」「道東」「道北」の3つの地域の気候の特徴を紹介していきます。この記事から、北海道の多様で豊かな自然の中に暮らす人々の生活の様子がイメージできるはずです。
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北海道の気候の特徴
北海道の気候は、本州と異なる点がいくつかあります。
1. 冬の気温が下がる
日本の多くの地域は温帯ですが、北海道は冷帯に属しています。温帯と冷帯の違いは冬の気温にあります。その年の最寒月平均気温が-3℃を下回ると冷帯となり、植生に変化が現れます。北海道の樹木はマツやスギのような針葉樹林が中心で、葉が冬の寒さに耐えられるように針のように細くなっていることが特徴です。また、冬が長く、気温が下がることにより流氷をはじめ、ダイヤモンドダストなどの美しい自然現象を見ることができます。
2. 北海道には梅雨と台風の影響がほとんどない
本州では6月頃に梅雨で雨季となり、7~10月は台風シーズンとなりますが、北海道ではあまり雨が降りません。そのため、初夏~秋にかけても人気の観光地となっています。北海道は夏でも比較的涼しいことからゴキブリがいないと言われています。北海道出身の人が上京し、一人暮らしをしながら生まれて初めてゴキブリを見るということが笑い話としてされることもあります。
北海道のエリア別の気候の特徴
北海道は広大な面積を持っているため、地域によって気候に特徴が見られます。また北海道は南東に太平洋、西に日本海、北東にオホーツク海が位置し、これらの海が北海道の気候に影響を与えています。ここでは「道央」、「道東」、「道北」の3つのエリアについて、それぞれの気候の特徴を紹介します。
「道央」の気候の特徴(札幌・石狩地方)
道央の気候の特徴は、冬の降雪量が非常に多いことです。シベリアから吹く北西の季節風が、日本海で水蒸気を吸収し、山地にぶつかって大雪を降らせます。そのため冬の日照時間が特に少なく、曇りか雪の日が続きます。一方、夏は晴天が続き、最高気温が30℃を超えることもあります。
「道央」の中心地、札幌の気候の特徴
札幌は北海道の中心都市です。札幌で桜が開花するのは5月初旬で、日本ではGWの真っ最中です。春を待ちわびた人々がいっせいに外に出かけます。5月下旬には田植えの最盛期を迎え、6月には市内の至る所でハマナスの花が咲き乱れます。7月~8月は短い夏で、9月には紅葉が始まります。10月には初雪が降ることもあり、冬の到来です。1月には最高気温が氷点下の日も続き、「さっぽろ雪まつり」が開催されます。
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「道東」の気候の特徴(十勝地方・知床)
「道東」は太平洋側の十勝地方と、オホーツク海側の知床地方で、気候の特色が異なるため、それぞれ紹介させていただきます。
「道東」太平洋側(十勝地方)の気候の特徴
太平洋側は、寒流の千島海流が流れているため、北海道の中でもとりわけ冷涼な気候となっています。夏は海からの霧に覆われる日が多く、晴れる日は少なくなります。多くの地域で8月の平均気温が18℃程度と涼しい日が続きます。冬は日高山脈によって風がさえぎられるため晴天の日が続きます。十勝地方は日本有数の畑作地帯です。十勝地方の畑の面積は全国の12.5%を占めており、寒冷な気候に適した様々な農作物が栽培されています。代表的な農作物は、ジャガイモ、テンサイ、小麦、豆類です。また、十勝平野の中心都市である帯広市には、大手お菓子メーカーのポテトチップスの生産工場があります。
また、十勝川の河口に位置する大津海岸では、1~2月に海岸に打ち上げられた氷の塊が太陽の光をうけて美しく輝く現象がみられます。これをジュエリーアイスと言います。ジュエリーアイスは流氷とは違い、クリスタルのように透明に光り輝く姿が神秘的で、冬の1番寒い時期だけに見られる絶景となっています。
「道東」オホーツク海側(知床半島)の気候の特徴
オホーツク海側は、年間を通して晴天率が高く、降水量も少ないことが特徴です。夏は、太平洋側に雨を降らせた後の乾いた季節風によってフェーン現象が発生し、北見盆地などでは最高気温が30℃を超える日もあります。冬は、日本海側に雪を降らせた後の乾燥した風が吹き下ろしてくるため、最低気温は-20℃まで下がります。
オホーツク海では、冬に流氷を観測できます。流氷はシベリアのアムール川の水が、オホーツク海に流れ込んで作られると言われています。朝日や夕日に照らされる流氷は特に美しく、ピンクやオレンジの光が反射して幻想的な雰囲気を生み出します。流氷は、北極圏から長い旅をしてきた自然の産物であり、その歴史や壮大なサイクルに想いを馳せると、自然の力強さや時間の流れを感じることができます。
オホーツク海に細長く突き出した知床半島には、手つかずの自然が多く残されていることから、2005年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。冬の4ヶ月の平均気温は氷点下になるなど厳しい気候条件ですが、さまざまな種類の動植物が見られます。知床の豊かな生態系の頂点に君臨するのがヒグマです。ヒグマは日本の陸上の哺乳類としては最大で、北海道にしか生息していません。こうした自然の景観や動物の観察を目的に、年間120万人以上の観光客が知床半島を訪れています。
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「道北」の気候の特徴(上川盆地&旭川)
「道北」は、夏と冬の気温の差が極めて大きくなります。特に冬の寒さは厳しく、1902年に旭川で観測された-41.0℃は日本の観測史上最低気温となっています。冷え込みが厳しく、風の弱い朝にはダイヤモンドダストが見られることもあります。一方で夏は30℃を超える日もあります。
旭川にある旭山動物園は、日本で最も北に位置する動物園です。一時は入場者数の減少に悩まされた時期もありましたが、1997年頃から施設全体を網で囲み、動物たちが自然に近い状態で飼育される工夫を行いました。その結果、来園者は動物本来の姿を観察できることができると話題となり、現在では日本の動物園の中でもトップクラスの人気となっています。
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北海道の気候を生かした郷土料理
日本海側の風土を生かした郷土料理
北海道は稲作が非常に盛んで、米の生産量は新潟県に次いで第2位となっています。特に日本海側に位置する石狩地方は北海道有数の米どころとして知られています。もともと稲は、高温多湿の地域で育つ作物ですが、石狩地方では品種改良によって、寒さに強い種類を栽培することに成功しました。また、石狩地方が発祥である「石狩鍋」は、ぶつ切りにした鮭をジャガイモ、大根、キャベツとともに、味噌仕立てにして大鍋で煮込んだ料理です。漁師料理から生まれたと言われています。
十勝地方の風土を生かした郷土料理
十勝平野の冬は非常に冷え込みます。そのため十勝地方の多くの小学校では、本州に比べると冬休みが長いことが特徴です。東京や大阪など本州では一般的に冬休みは13日間であるのに対し、十勝地方では25日間もあります。冬にスケートの授業があることも十勝地方の小学校の風物詩となっています。12月になると学校の校庭に水をまき、低い気温を利用して氷をはります。児童は昼休みになると校庭に出て、元気いっぱいに滑ります。また、陸別町にある陸別小学校では、学校給食の中で、鹿肉を使った鹿味噌ラーメンや、鹿カツドッグなど、地元の食材を利用したメニューが食べられています。これらも、厳しい冬と豊かな自然環境の中に暮らす十勝地方ならではの特徴です。
オホーツク海側の風土を生かした郷土料理
オホーツク海は毛ガニの一大産地として知られ、カニを使った料理が有名です。てっぽう汁は、ぶつ切りのカニがたっぷり入った味噌汁で、漁師さんをはじめ、寒さの厳しい町に暮らす人々の体を温めてくれる料理として知られています。カニの足を箸でつつきながら食べる様子が、鉄砲の弾込めに似ていることから、その名がつけられました。
内陸部の風土を生かした郷土料理
「道北」に位置する上川盆地は、夏と冬の寒暖差が大きいことや、豊富な雪解け水が流れ込むことから、米の一大生産地となっています。上川盆地で誕生したお米が「ゆめぴりか」です。「夢」という言葉と、先住民族のアイヌ語で「美しい」を意味する「ぴりか」を合わせて2008年に命名されました。2009年に北海道大学が行った食べ比べ試験では、新潟県産コシヒカリをおさえて第1位となったこともあります。また、旭川市は北海道3大ラーメンの街の1つとしても知られています。かつてから物流が盛んで食材が集まりやすかったことや、醸造業が発展していたことから醤油ベースのラーメン店が多いことが特徴です。
北海道は日本で最も寒い地域です。冬はスキーや雪まつりなどのイベントが開かれているほか、自然の美しさを体感できる場所がたくさんあります。一方で梅雨や台風がないことで初夏~秋にかけても人気の観光地となっています。四季がはっきりしている日本の中でも、春夏秋冬それぞれの季節の魅力がはっきりと体感でき、風土に根付いた料理も味わうことができます。ぜひ、北海道を訪れ、自然の雄大さを感じてみてください。
<参考文献>
- 「日本の国土と暮らし」(国土社)
- 「寒い土地の暮らし」(金の星社)
- 「都道府県別日本地理データマップ」(小峰書店)
- 「日本のすがた北海道地方」(帝国書院)
- 「日本地図の本(北海道・東北)」(岩崎書店)
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