日本人にとって馴染み深く、身近な植物性ミルクのひとつである「豆乳」。何回かのブームを経て、今やすっかり日本人の食生活に定着したのですが、実は市場に受け入れられない時期もあり、試行錯誤を重ねて改良し、ようやく市場拡大を果たしたという物語が隠されています。
今回はそんな豆乳の歴史、種類や栄養成分からおすすめの食べ方、そして絶品豆乳料理が楽しめるお店まで、豆乳に関する興味深い「豆」知識をたっぷりご紹介します!
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豆乳の歴史:今から二千年以上前に飲まれていた?
豆乳は古くから人々に親しまれてきた植物性ミルクの代表格であり、その歴史も大変古く、中国では2,200年前から作られていたとされています。日本への伝来は奈良時代(710年~794年)だと考えられており、当時は「豆腐羹(とうふこう)」とも呼ばれ、一種の精進料理として食されていました。
しかし、豆乳が一般的な飲料として飲まれるようになったのは比較的最近のことです。かつては豆腐屋さんの店先でしか手に入らないものでしたが、紙パックでの販売が始まり、手軽に飲めるようになったことで、健康志向の高まりとともに大きなブームとなりました。
1980年代に起こった第一次ブームでは11万7千トンもの生産量を記録しましたが、豆乳独特の豆臭さと渋みが強く残っていたため、ブームは数年経たずに沈静化しました。その後、豆乳の製造技術の向上や様々なフレーバーの豆乳飲料の登場により、2005年頃に再び注目を集めるようになり、現在も「第二のミルク」として幅広く活用されています。
日本における豆乳の種類と特徴
日本の豆乳は日本農林規格(JAS規格)により「無調整豆乳」、「調製豆乳」、「豆乳飲料」の3種類に分けられています。
無調整豆乳
大豆固形分が8%以上と豆乳の種類の中で最も高く、たんぱく質やイソフラボンが豊富で、大豆本来の味を最も強く感じられる豆乳です。砂糖や食塩などの添加物がほとんど含まれていないため、大豆の風味と栄養をそのまま摂取できます。料理や飲み物など幅広く利用されており、豆腐作りやスープのベースとしても最適です。
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調製豆乳
大豆固形分が6%以上8%未満で、無調整豆乳に砂糖や食塩などを加えて飲みやすく調整した豆乳です。コーヒーや紅茶に入れても、そのまま飲んでも美味しく、牛乳の代わりにシリアルにかけたり、料理に活用したりできます。カルシウムやビタミンDなどが強化されている商品も多く、栄養バランスを補えるのも魅力のひとつです。
豆乳飲料
大豆固形分が4%以上6%未満(果汁入りの場合は2%以上)で、調製豆乳にさまざまなフレーバーを加えた豆乳です。子供から大人まで幅広い層に人気があり、普段の食生活に無理なく取り入れられるため、手軽に豆乳を摂取したい方におすすめです。
豆乳の栄養成分・健康効果
栄養価が高く健康にも美容にもいいドリンクとして認知されている豆乳ですが、実際にはどのような成分が含まれているのでしょうか?
大豆たんぱく
「畑の肉」とも呼ばれている大豆にはたんぱく質が30%以上と非常に多く含まれており、お肉や魚にも負けない良質で貴重な栄養源として重宝されています。コレステロールの減少、脂質代謝の促進、脂肪燃焼などの効果も期待できるので、コレステロールが気になる方やダイエット中の方に取り入れてほしい栄養素のひとつです。
大豆イソフラボン
大豆の胚芽に多く含まれる成分で、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをすることから「植物性エストロゲン」とも呼ばれています。更年期障害の軽減と美肌効果だけでなく、骨粗しょう症の予防、糖尿病や心臓病のリスク低下にも寄与すると考えられていますが、過剰に摂取するとホルモンバランスの乱れを引き起こす可能性があるため要注意です。
大豆サポニン
大豆に含まれる苦味や渋みの主成分で、泡立つ性質を持っています。体内の酸化を防ぎ、老化や生活習慣病のリスクを低減する効果と免疫力を高める効果が期待されており、さらに一部の研究では、がん細胞の増殖を抑制する働きが報告されています。
大豆レシチン
大豆から抽出した天然のリン脂質の一種で、天然の乳化剤として幅広く利用されています。脳細胞の主要な構成成分であることから、記憶力や学習能力の向上、神経伝達物質の働きをサポートし、脳の老化予防効果が期待されています。また、肝臓の働きをサポートし、脂肪肝の予防や改善にも役立つとされています。
10月12日は豆乳の日
「豆乳の日」は日本豆乳協会が2008年に制定したもので、日付の「10月12日」は健康意識が高まる10月と「10(トウ)2(ニュー)」の語呂合わせに由来しています。
また、豆乳の消費を活発にし、豆乳に関する知識を広めることを目的として、日本豆乳協会を中心に様々なイベントやキャンペーンが開催されます。食育活動の一環として全日本の高校生を対象としたレシピコンテスト「豆乳レシピ甲子園」や、豆乳愛飲者・豆乳関連の職業従事者等を対象に実施する「豆乳資格検定」が挙げられます。
豆乳のアレンジレシピ4選
豆乳は牛乳の代わりに使えるだけでなく、様々な料理にも活用されています。一工夫を加えれば家庭でも手軽に豆腐や湯葉などが手作りできますので、ご興味のある方はぜひ試してみてください。
豆腐
① 耐熱容器に無調整豆乳とにがりを入れ、泡立たないよう均一に混ぜます
② 容器にふんわりとラップをかけ、電子レンジで加熱します ※加熱時間は豆乳の量や電子レンジの種類によって調整してください
③ 加熱後、そのまま5分ほど置いて余熱でしっかりと固めます。竹串などを刺して、液が出てこなければOK
出来立てはふわトロ食感が楽しめますが、冷蔵庫で冷やすとより豆腐らしい食感になり、本格的な味わいを堪能できます。
湯葉
① フライパンに無調整豆乳を入れ、沸騰させずに弱火で温めます
② 表面に薄い膜が張ってきたらお好みの厚さですくい上げ、浸す用の豆乳を入れたボウルに移します
③ 上記作業を豆乳がなくなるまで繰り返します
すくい上げた湯葉は醤油をかけていただくのが一般的ですが、冷奴のように冷やしても、温かいままでもおいしく食べられます。
チーズ
① 鍋に無調整豆乳を入れて中火で温め、沸騰直前で火を止めます
② 温めた豆乳にレモン汁を加え、ゆっくりと混ぜ合わせます
③ しばらくすると豆乳が分離してくるので、5分ほど静置します
④ ザルにキッチンペーパー(ガーゼでも可)を敷き、固まり始めた豆乳を流し込みます
⑤ キッチンペーパーで包み、重石をして水分をしっかり切った後、冷蔵庫で数時間冷やせば完成です
豆乳チーズの賞味期限は2日〜3日が目安で、加熱すると分離しやすいためそのまま食べるのがおすすめです。
豆乳鍋
① お好みの具材(豚肉、豆腐、白菜など)を食べやすい大きさに切ります
② 土鍋に無調整豆乳と白だし(味噌でも可)、水を入れ中火で加熱します
③ 煮えにくい具材から順に加え、野菜がしんなりしたら出来上がりです
具材を食べ終わったら、〆にラーメンを入れたり、ご飯とチーズでリゾットを作ったりするのもGOOD!
京都で豆乳料理がおすすめのレストラン3選
京都は質の高い大豆が手に入りやすい地域で、良質な地下水や清水に恵まれていることから、豆腐や湯葉料理が有名です。豆乳のおいしいレストランも多く、中でもおすすめのお店を紹介します。
ぎをん豆乳ら~めん うのゆきこ
世界唯一の豆乳パティシエが作った100%植物性ラーメンをコンセプトにしたお店です。グルテンフリーの醤油をベースに、野菜やキノコをふんだんに使ったクリーミーな豆乳スープが特徴で、離乳食が終わった赤ちゃんでも食べられるように美味しさと安心の両立を叶えました。
豆腐料理とおばんざい 京都豆八
京都で100年の歴史を持つ豆腐屋が作る昔ながらの豆腐を使用。京の水で育まれた大豆の甘みと、口の中でとろけるような滑らかな舌触りが特徴です。豆腐本来の味を活かした創作料理はもちろん、豆乳や湯葉を使った料理まで幅広いメニューが楽しめます。
EVERYSOY 四条烏丸店
京湯葉の老舗「ゆば庄」が手掛ける、豆乳に特化したカフェです。厳選したフレッシュな豆乳を贅沢に使用し、香料や添加物を一切使用していないため大豆本来の風味をそのままに、きめ細やかでクリーミーな口当たりを実現しました。
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