突然ですが、皆さんは「はちみつ」といえば、何を連想しますか。ミツバチたちが巣の中でせっせと蜜をつくる様子、のど飴やサプリメントなどの健康食品……。そんな中、「はちみつの日」なる記念日のことをすぐに連想できる人、あるいはそもそも日本でそんな記念日が制定されていることをご存じの方は、ほとんどいないのではないでしょうか。
今回の記事では、この「はちみつの日」が制定された経緯、およびこの記念日に関連したキャンペーンやイベントについての情報を、日本の養蜂の歴史などを踏まえつつご紹介します。
日本における養蜂。その歴史と現状
「はちみつの日」についてご紹介する前に、まずは日本における養蜂に関わる歴史的背景と、現在の実情をご紹介しておきましょう。
日本における養蜂の歴史
一般社団法人日本養蜂協会のホームページには「日本の養蜂の歴史」 として、次のような内容がまとめられています(今回の記事では、江戸時代までの内容を、ごく簡単にまとめます)。
日本で初めてミツバチのことが書かれたのは、627年の『日本書紀』です。この頃は「蜜蜂」という文字も言葉もなく、「蝿の群れ」と表現されました。これは、ほかに表現の方法がなかったためと推察されています。「蜜蜂」という語が文献上ではじめて用いられたのは、643年の『日本書紀』にある、「奈良の三輪山で養蜂を試みたが失敗に終わった」という記録です。これが、日本における養蜂のはじまりとされています。
奈良時代(710年頃〜794年)には、外国からの貢物としてはちみつが献上されました。平安時代(794年~1185年)になると、日本でも蜜を献上していた記録が見られるようになります。日本最古の長編小説『源氏物語』の記述からは、当時、はちみつで香を練っていたことが分かります。また、平安時代の終わり頃には、歴史物語でミツバチが飼われていた様子が描かれているといいます。
養蜂が本格的に行われるようになったのは、江戸時代(1603年~1868年)からとされています。社会が安定し、貨幣経済が進展するにしたがい、換金できる生産品に対して関心が高まっていきました。ミツバチに関しても、生態や養蜂技術に関する本が出版されるようになりました。
日本における養蜂の現状
農林水産省畜産局の資料(『養蜂をめぐる情勢』 2024年2月)によると、2022年のはちみつの国内生産量は2,527tです。また、この年の日本国内のはちみつ生産量の上位五県は、上から順に北海道(378.5t)、熊本県(239.4t)、秋田県(221.1t)、長野県(218.0t)、青森県(149.6t)となっており、この五県だけで総生産量の約五割を占める計算になっています。その一方で、2022年のはちみつの国内消費量は49,783tとされており、自給率は5.1%となっています。
「はちみつの日」 成り立ちの経緯
そんなはちみつについて制定された「はちみつの日」は、8月3日と定められています。1985年、日本養蜂はちみつ協会と全日本はちみつ協同組合によって制定され、「健康食品として、はちみつや、はちみつを含む商品の魅力を知ってもらうこと」を目的としています。なぜ「はちみつの日」が8月3日と定められたのか、その理由は「はち(8)みつ(3)」と日本語で読めることに由来しています。
ちなみに余談ではありますが、この8月3日の「はちみつの日」のほかにも、5月20日が「世界ミツバチの日」 として定められています。この記念日は、スロベニア政府の提案に基づいて、2017年12月の国連総会で制定されたものです。この日付自体は、「養蜂が盛んなスロベニアにおいて近代養蜂の先駆者」とされるアントン・ヤンシャの誕生日に由来するもので、この日は、「生態系に対するミツバチやその他の花粉を媒介する生物の役割の重要性を認識するための日」とされています。
「はちみつの日」に関連するキャンペーンやイベント
さて、ここからは8月3日の「はちみつの日」に関連するキャンペーンやイベントの情報を確認しておきましょう。
まずは、はちみつ好きで有名なディズニーのキャラクター、くまのプーさん に関する情報です。8月3日(はちみつの日)を記念して、通販会社ベルメゾンが展開する「Disney Fantasy Shop」でくまのプーさんの新商品を展開。プーさんがデザインされたかわいいメイクボックスやショルダーバッグ等が販売されています。
また、福岡県朝倉市にある藤井養蜂場 では、2024年の「はちみつの日」に、「はちみつ直売店にて、それぞれお得なキャンペーン」が実施される予定となっています。
この他、8月3日の「はちみつの日」当日ではありませんが、はちみつに関連するイベントとして「はちみつフェスタ」 というイベントも開催されています。2023年に開かれた第八回のイベントでは、「はちみつやお酒、お菓子など」の「はちみつ商品総勢約100種類」が揃った販売コーナーはもちろん、「ハニーティーシロップ」、「爽やかはちみつレモンのアロマバスボム」、「はちみつとハーブのバスソルト」作りが体験できるワークショップも実施されました。
2024年の第九回は東京都中央区銀座の「銀座フェニックスプラザ」で、7月26日(金)から28日(日)にかけて三日間の日程で開催される予定となっています。都内にお住まいの方や、この三日間に銀座へお出かけ予定のある方は、ぜひ会場に立ち寄ってみてください。
おわりに:「はちみつ資格」にチャレンジしてみよう
ここまで「はちみつの日」に関連して、日本の養蜂に関する歴史と現状、および「はちみつの日」が制定の経緯から、この日に関連するキャンペーンやイベントの情報をお届けしてきました。
先ほどご紹介した「はちみつフェスタ」を主催している一般社団法人日本はちみつマイスター協会 では、「はちみつ資格」の認定を行なっています。この資格は「『はちみつ』に関するスペシャリストを認定する資格」で、短時間ではちみつの基本を学びたい方向けの「はちみつマイスター 入門講座」のほか、「日本はちみつマイスター協会 認定アドバイザー」を目指す人向けの「はちみつマイスター 基礎・初級講座」、さらには「日本はちみつマイスター協会 認定講師」を目指すための「はちみつマイスター 中級講座」が用意されています。
はちみつが好きで好きでたまらないという方、なにか資格取得に向けて頑張ってみたいという方、はちみつの魅力を自分から世界に広めていきたいと思っている方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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