誰もが一度は泊まってみたいと思う憧れの高級ホテル。日本には、和の趣がある宿、古民家をリノベーションした宿、世界に名だたる外資系のリゾートホテルまで、さまざまな宿があります。どの宿も、「ゲストが宿での滞在を楽しめること」を軸に、独自のサービスを展開しています。折角、訪日するのだから、ワンランク上の宿に宿泊して、日本のおもてなしを体験してみませんか。
日本の高級ホテル・リゾートについて
日本には、観光地を中心にワンランク上の高級ホテル・旅館がたくさんあります。中には全国各地に施設がある一大チェーンホテルも多くあります。当記事では、近年注目されている日本のリゾートホテルブランド星野リゾート、ふふ、HIRAMATSU HOTELS、そしてNIPPONIAをご紹介。ロケーションにこだわっていたり、古い建物をリノベートしていたり、そしてお食事自慢だったり……。どのブランドもそれぞれ、独自のコンセプトのものと、施設運営しています。円安のいまだからこそ、ちょっと背伸びをして、日本の高級ホテル&宿に宿泊してみて!
これからは、4つのホテルグループの中に実際のホテルを例として、各ホテルのコンセプトや魅力を紹介します。
「星野リゾート」:「旅を楽しくする」をテーマにさまざまなブランドを展開
「旅を楽しくする」をテーマに、旅の目的に合わせた宿泊施設や日帰り施設を運営している「星野リゾート」。長野県軽井沢で旅館を開業してから、2024年に110年を迎えた老舗企業です。
「星野リゾート」は5つのサブブランドを展開しています。例えば、「その瞬間の特等席へ。」をコンセプトに、圧倒的非日常感を提供している「星のや」、 「王道なのに、あたらしい。」をテーマに、季節の移ろいや和の趣、伝統を生かしながら現代のニーズに合わせたおもてなしを追求する温泉旅館「界」、 その土地の特性を生かした空間デザインと豊富なアクティビティをそなえるリゾートホテル「リゾナーレ」、「テンションあがる『街ナカ』ホテル」をコンセプトに、街をこよなく愛するスタッフが地域の方々と仕掛ける、新感覚のホテル「OMO」などがあります。
星野リゾートは2024年4月現在、国内外に68施設を運営しています。
ホテルステイを満喫できるさまざまなサービスを展開
まず紹介するのが「星のや」の原点ともいえる「星のや 軽井沢」。「離れ家」感覚の客室が川の流れる谷あいに点在しているのが特徴で、客室は「眠る部屋」ではなく「滞在する空間」をコンセプトとしています。星野エリア内を含めると2つの源泉かけ流しの温泉があり、異なる景色の湯浴みを楽しむ事も出来ます。
館内は随所にリラックスできるスペースがあり、ラウンジのそばにはコーヒー、ハーブティー、夜には果実酒やウイスキーも用意されています。数種類の野菜からとった、栄養の溶け込んだ野菜出汁を使った朝食もおすすめです。
ご当地の日本文化を体験できるアクティビティを提供
「星のや京都」では、渡月橋から専用の船でホテルまで案内され、まさに「隠れ家」といった印象です。香りを聞く体験「聞香」、読経や座禅などお寺の体験「朝のお勤め」、「着物で京散策」、屋形舟で四季折々の舟遊びといった日本の文化を感じられるアクティビティも数多く用意され、ホテル滞在がより充実したものに。
ほかにも、八ヶ岳の雄大な自然が広がる場所に位置する「星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳」では、乗馬や森の中での空中散歩(アスレチック)など八ヶ岳のフィールドを満喫できるアクティビティが多数あったり、「界 伊東」 では、湯守りが、伊東温泉の歴史とともに泉質や効果的な入浴法を説明してくれたり、伊東の特産でもある椿の実を圧搾機で搾って椿油を作るご当地楽体験があるなど、どの施設でも、その場所、その時を楽しむコンテンツがたくさんあります。
「ふふ」 :ベストロケーションにあるスモールラグジュアリーリゾート
箱根、熱海、軽井沢、日光、河口湖、京都、奈良といった日本の有名観光地にあるスモールラグジュアリーリゾート「ふふ」。コンセプトは「ときを味わう場所」。どの店舗も、特筆すべきはロケーション。例えば、「ふふ河口湖」は、富士山を目の前に望む一等地に、「ふふ京都」は京都・南禅寺近く、琵琶湖疏水のほとりにあり、どちらも四季のうつろいや歴史・文化を感じられる場所に位置しています。客室数は20室~40室ほど、小規模でありながらも、温泉・美食・自然など充実した滞在が体験できます。
多くの施設の客室は温泉付き!客室インテリアのこだわりも随所に
全国に8施設展開していますが、当記事では2023年12月に開業したばかりの「ふふ 軽井沢 陽光の光」からご紹介。全24室に、ビビットな色調が取り入れられ、どの室内にも観葉植物などが置かれ、リラックスした空間を演出しています。夕食は、信州の食材を使ったジャパニーズフレンチのフルコース。カウンターや個室などゲストのプライバシーを守った席でいただきます。
同時に開業した「ふふ 旧軽井沢 静養の森」は、雲場池のほとりの森に静かにたたずみ、全室、床暖房と暖炉が設置されています。ゆったりとした客室にはインルームバルコニーもしつらえ、別荘に来たような感覚に。また、「旧軽井沢の森を駆け抜ける人力車ツアー」や「プロフォトグラファーによる軽井沢のロケーションフォト」などユニークなアクティビティプランもあり、「ときを味わう」ことができます。
高品質な料理やサービスなど極上のおもてなしを提供
食事も秀逸。全ての客室から富士山を望む「ふふ 河口湖」の夕食は、日本の懐石料理に河口湖を掛け合わせ、地元の季節の食材を薪と炎と溶岩石を使って仕上げた逸品が並びます。朝食は、竃と薪で炊き上げたふわふわのご飯、野菜たっぷりのけんちん汁、地養卵など、ここでしか味わえない一皿が並びます。
全施設共通のサービスとしては、客室にあるミニバーにあるビール・ソフトドリンクは無料、どの施設も英語対応可能なスタッフがおり、お食事の献立メニューは英語に翻訳されています。
また、全てのふふの客室には温泉付き、マットレスは眠りのプロ「シモンズ社」と「ふふ」が共同開発した「SLEEPLEASURE(スリープレジャー)」を採用したものを使っています。
「HIRAMATSU HOTELS 」 :ロケーションの景色や高いクオリティの料理が特徴
高級フレンチレストランなどを国内外に運営していることで知られている「ひらまつ」が展開している「HIRAMATSU HOTELS」。レストラン事業で培ってきた高いクオリティの料理とおもてなし、そしてその40年を超える経験をもとに、シェフが創り出す地産地消の料理、その土地ならでは景色や温泉、ちょうどよい距離感で寄り添うサービスなどを通じて、「記憶に残る日々」を提供しています。
2024年4月現在、伊勢志摩、熱海、箱根、沖縄、京都、軽井沢 御代田、奈良の7施設展開していますが、どの施設も、特筆すべきはロケーションとそこの景色。熱海は目の前に相模湾、箱根・仙石原は雄大な箱根外輪山など、そのエリアの魅力を感じられる場所にあります。「THE HIRAMATSU」、「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS」 、「L’AUBERGE DE PLAISANCE」の3つのブランドがあります。
ロケーションを活かし、インテリアにこだわりが!
当記事で、まず紹介するのは、都市型ラグジュアリーホテル「THE HIRAMATSU 京都」。京都の中心地・中京区室町通沿いにある京町家の建物を修復・再構築しました。客室の扉を開けると視線の先には格子や鉛の壁などが配され、伝統的な京町家を思わせるつくりに圧倒されます。中心地にありながら、一番コンパクトな客室でも54㎡以上と広々しており、どの客室もジェットバスを完備しています。
2つ目に紹介するのは「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 熱海」。初島、伊豆半島、大島、三浦半島、房総半島を一望できるベストロケーションにあり、 日本の美を表現する現代の名工・木下孝一による数寄屋造り建築を保存しつつ、新たな客室棟を加え、全13室のホテルとして再生。
全ての客室から相模湾を望む、全室オーシャンビュー、温泉風呂つきです。
箱根にある「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 仙石原」も、本館・レジデンスのすべての客室に、源泉掛け流しの温泉風呂がついています。イタリア料理レストランでは、仙石原の四季折々の自然をまるでお皿の中に映し出したかのような、美しい一皿を提供しています。
朝食など高いクオリティの料理が自慢
食事は、レストラン「ひらまつ」が手掛けているだけに、秀逸。先に紹介した「THE HIRAMATSU 京都」の朝食は、洋食と日本食のチョイスがあります。洋食は自家製の食パンやデニッシュ、京都の新鮮な野菜のサラダやスープ、卵料理、和食は炊きたてのご飯とお味噌汁、お漬物に合わせ、京都の野菜をたっぷり使った身体にも優しいお料理が懐石スタイルで提供されます。
また、「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 熱海」では、相模灘の恩恵を受ける新鮮な魚介類など地元食材をはじめ、日本全国より厳選して取り寄せた旬の素材を使った御馳走の数々を提供しています。
「NIPPONIA」:日本歴史や文化を体感できる古民家宿泊
日本各地に点在して残されている古民家を、客室や飲食店としてリノベーションを行い、その土地の文化や歴史を実感できる複合宿泊施設として再生していく「NIPPONIA」。「なつかしくて、あたらしい、日本の暮らし」を体感して頂きたいという想いから、ホテル・旅館では味わえない体験を提供しています。
2024年3月現在、日本全国に31件の宿泊施設が展開しています。北海道から沖縄まで点在し、特に関西エリアに一番多く15件があります。新施設を開業する際は、地域が誇る文化財などの歴史的建造物を、できるだけ往時の美しい姿のまま修復・保全・活用し、「観る」ではなく、「体験する」コンテンツへと転化させ、記憶に残る時間を提供することを目指しています。また、宿のスタッフはまちの歴史や文化を熟知しているコンシェルジュとして旅をサポートしてくれます。
平均価格帯は、施設によって異なりますが、例えば「佐原商家町ホテルNIPPONIA」は2食付き2名1室49,830円(1名料金)~、「奈良ならまち」は53,570円(1名料金)~。
まち全体がまるごとホテルになる分散型ホテル
今回紹介する千葉県香取市にある「佐原商家町ホテル NIPPONIA」は、まち全体がまるごとホテルになる分散型ホテル。まちに点在している歴史や文化を持った建物を再活用し、レセプション・客室・レストランなどをそれぞれの棟に分散させ、まちをまるごと1つの宿泊空間にしたというユニークな施設です。一棟貸しなどの客室で周りを気にせずプライベート感たっぷり。明治期に製綿業を営んでいた商家の蔵を再生させた「YATA」棟、穀物商、質商を営んでいた名残りを感じる蔵「SEIGAKU」棟など、歴史の重みを感じる宿ばかり。
日常の喧騒を離れゆっくり過ごしてもらいたいという思いから、客室にはTVや時計などは設置されていません。食事は江戸時代創業の老舗蔵元の酒蔵のひとつを再利用した、フレンチレストランへ。フレンチでありながら酒粕を取り入れたり発酵食品を使用するなど、この土地ならではの地元食材を使用した料理と、蔵元直送の日本酒のペアリングを楽しめます。
酒造りをしていた施設をリノベーションして日本酒テーマホテルへ
「奈良・ならまち」は、奈良を代表する蔵元のひとつ、奈良豊澤酒造がかつて酒造りをおこなっていたならまちの古民家を、昔ながらの趣は残しつつ快適な宿に修復しました。「NIPPONIA HOTEL 奈良 ならまち」のテーマはSAKE。かつてこの地で酒造りを行っていた奈良豊澤酒造と協力し、酒粕風呂や酒蔵見学をはじめ、併設するレストランではここでしか飲むことができない限定酒も用意。
食事は、伝統ある大和野菜、大和牛、そして奈良豊澤酒造の酒粕など、この土地ならではの逸品ばかり。シェフが目の前で作っている様子が見られることも魅力です。
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