博物館と聞くと、厳粛な場所であり、静かに展示物を観るだけというイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、「日本銀行金融研究所貨幣博物館」(以下、貨幣博物館)を見学してみれば、そんな固定観念が一変することでしょう!
東京都中央区日本橋に位置する貨幣博物館では、日本で使用されてきたさまざまな種類の貨幣を鑑賞したり、日本の貨幣の歴史に触れたりするだけでなく、昔の買い物体験を楽しむミニゲームや、江戸時代の小判1000両が収納された箱である「千両箱」の重さ体験もあります。また、貨幣博物館でしか手に入らないお土産も購入可能です。今回は、FUN! JAPAN編集部が貨幣博物館の魅力をお届けします。
貨幣博物館について
日本橋駅周辺の金融エリアに位置する貨幣博物館は、貨幣および貨幣に関する歴史的、文化的な資料を収集・保存し、それらの調査研究を進めつつ、一般に公開しています。この博物館の中心的な収蔵品は、古貨幣コレクターであり研究家でもあった田中啓文氏(1884~1956年)が収集した銭幣館のコレクションです。
田中氏は、日本の古代から近代に至る貨幣の他に、中国を含む東アジアの貨幣や関連資料も熱心に収集しました。これらの資料はかつて「銭幣館」として知られる施設に保管されていましたが、1944年に戦火を避けるために日本銀行に寄贈されました。
貨幣博物館は、このような貴重な資料を一般に公開するために、日本銀行の創立100周年(1982年)を記念して1985年11月に開館しました。そして、2015年11月には全面的なリニューアルが行われました。
また、現在の日本銀行本店の場所には、かつて金貨などの製造が行われていた「金座」がありました。ここもまた貨幣との歴史的な縁を感じさせます。この日本銀行旧館の正面に貨幣博物館があります。
貨幣博物館の見どころ①:古代から近代まで一気に鑑賞できる
展示室の入り口では、お札や硬貨だけでなく、布やお米なども展示されています。これらは、日常生活でお金として使用され、交換や貯蓄に活用されてきました。
展示室内には、展示物がぎっしりと並んでいます。古代から始まり、中世、近世、そして現代まで、日本の貨幣の歴史を順路移動しながら学べます。日本は島国ですが、外国から大きな影響を受けながら貨幣 のあり方が変化してきたことが分かるはずです。
日本最古の貨幣である富本銭、大判や小判、そして現代の紙幣まで、各時代で実際に使われていたお金が分かりやすく展示されています。1000年以上にもなるお金の変遷に圧倒されます!
特に 注目は、4種類の小分銅。貨幣ではなく金塊ですが、 いずれも金の品位は約95%、重さは約375g、表面には彫金が施され、見た目にも美しいです。
貨幣博物館の見どころ②:体験展示で貨幣の世界を楽しもう
貨幣博物館では、単に展示を見るだけでなく、体験型の展示も充実しています。以下では、筆者が体験した展示を紹介します。
「千両箱」の重さ体験にチャレンジ
時代劇でよく見かける小判1000両を収納する「千両箱」を実際に手に持ってみることができます。その重さはなんと20kg!ドラマでは軽々と持ち上げていますが、とても一人では持ち上げられません。
現代の偽造防止技術を学ぶ
お札を拡大して詳しく見る機械を使えば、偽造防止技術について学べます。実は日本のお札の所々に「NIPPON GINKO」の文字が印刷されていると知っていましたか?
藩札の透かし体験
昔から偽札を防ぐ技術は 様々な工夫がされていました。 ボタンを押すと、江戸時代の各藩で発行された藩札の透かし技術が目の前に現れます。
日本の古銭「大判」の重さを感じる
豊臣秀吉や徳川家康がつくらせた金貨(大判)の実物を見た後、その重さを体感できます。当時、身分が高かった人やお金持ちしか持てなかった大判、重みもありがたみもずっしり感じます。
「大黒札」&古銅銭のスタンプコーナー
最初の日本銀行券である「旧十円券」(通称「大黒札」)のスタンプもゲットできます。
13種類の古代の銅銭のスタンプコーナー
古代には富本銭から乾元大宝まて、国家によって13種類もの銅銭が発行されました。古代銭貨の「銭譜」を自分で作ってみました!
また、展示室内では写真撮影ができませんが、2階展示室外のロビーには記念撮影スポットがあります。さらに、手持ちパネルも用意されていますので、ぜひ使って思い出の写真を撮影してみてください。
貨幣博物館の見どころ③:ユニークなお金のおみやげがたくさん!
展示室の入り口にあるお土産コーナーでは、さまざまな商品が販売されています。紙幣をイメージしたタオルや、紙幣や硬貨をモチーフにしたお菓子など、バラエティ豊かな品揃えです。展示を楽しんだ後に、ぜひおみやげコーナーにも寄ってみてください。今回はおすすめのおみやげの紹介だけでなく、実際に試食した感想もお届けします。
¥en Cookies (1,490円/12枚入り)
1927年に創業した老舗洋菓子店「泉屋東京店」が製造するクッキーです 。缶には日本銀行本館が描かれており、開ける前からワクワク感が高まります。中には日本資本主義の父として知られる渋沢栄一の肖像が描かれた新一万円札を模したクッキーや、500円と100円のコイン柄のクッキー、そして泉屋のトレードマークである「リングダーツ」が入っています。
🍴実食レポート
甘すぎずザクッとしたクッキーの食感が癖になります。そして、個包装なので、簡単に人に分けることができます。
新札柄お札せんべい(540円/6枚入り)
神戸の老舗和菓子店「亀の井 亀井堂本家」が製造する瓦せんべいです。特徴は、2024年7月発行の新しい日本銀行券をモチーフにした3種の図柄です。
図柄には、近代日本医学の父である北里柴三郎(千円券)、実践的な女子高等教育の確立に尽力した津田梅子(五千円券)、そして渋沢栄一(一万円券)が描かれています。
🍴実食レポート
しっかりとした厚みとサクサク感、ほのかに焦がした甘い香りが楽しめ、一口ごとに香ばしさが広がります。ちょうどいい甘さで、飽きのこないおいしさです。
おてづくり本館もなか(760円/3個入り)
外箱は、日本銀行本館をデザインしたもので、もなかのパッケージは2024年に発行される新しい日本銀行券をモチーフにした3種の図柄です。箱を開けると、つぶあん・こしあん・抹茶あんの3種のもなかが入っています。
さらに、もなかの皮とあんが別々になっており、食べる直前に皮にあんを挟むことで、皮の香ばしさとあんの風味が一層引き立ちます。
🍴実食レポート
もなかの皮とあんが別々になっているので、自分で挟む楽しみも味わえます。皮のサクサク感が特に魅力的です。
音声ガイドを活用して、貨幣博物館を満喫しよう
貨幣博物館では、日本語と英語の音声ガイドが利用できます。スマートフォンやタブレット端末をお持ちの方は、展示室内の無料Wi-Fiに接続して、お好きなブラウザで音声ガイドを聴くことができます(無料)。※ただし、端末の設定によってはご利用できない場合もありますので、あらかじめご了承ください。
詳しくはこちら(日本語):https://mguide.jp/2/kahei01?lang=ja#/
貨幣博物館は日本の貨幣の歴史や進化について学ぶだけでなく、貨幣にまつわるミニゲームや体験コーナーも盛りだくさんで、楽しみながら学べたことが印象的でした。特に、古代から現代までの貨幣の変遷や、貨幣が持つ文化的な側面に興味深い発見がありました。その価値の高さにもかかわらず、無料で入館できることに驚きと感動を覚えました。次回の東京旅行では、ぜひ貨幣博物館を訪れて、見学してみてください。
Spot Information
- 名称:日本銀行金融研究所貨幣博物館
- 住所:東京都中央区日本橋本石町1-3-1(日本銀行分館内)
- アクセス:
- JR東京駅日本橋口から徒歩8分
- 東京メトロ半蔵門線 三越前駅(B1出口)から徒歩1分
- 東京メトロ銀座線 三越前駅(A5出口)から徒歩2分
- 東京メトロ東西線 日本橋駅(A4出口)から徒歩6分
- 開館時間:9時30分~16時30分(最終入館は16時まで)
- 休館日:月曜日(ただし、祝休日は開館)
- 入館料:無料
- 公式サイト:
※掲載商品はすべて税込、商品情報・価格は取材時(2024年3月)時点の情報です。
※展示室内での撮影は禁止されています。今回の取材では、撮影許可を得て撮影を行いました。
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