日本は、全部で47都道府県あります。
地域によって、街並みやアクティビティ、グルメなどの特徴が異なるように、地元の人々の県民性も様々。このシリーズでは、都道府県ごとの魅力や、ご当地あるあるを紹介し各県のローカル事情を掘り下げていきます。
今回取り上げるのは、四国の人気エリア香川県。瀬戸大橋の絶景や、瀬戸内国際芸術祭で有名な直島、そして小豆島といった魅力的な島々。そしてさぬきうどんなどのご当地グルメも人気の香川について一緒に学んでいきましょう!
香川県民はへらこい!?全国一面積が狭く、人口密度が高いからこその県民性に注目!
香川県の方言のことを讃岐弁と言います。「讃岐」とは、香川の旧国名のことで、さぬきうどんの「さぬき」も、元はこの地名に由来しています。
讃岐弁には、独特の言葉や音がたくさんありますが特に特徴的なのは、香川県民を表す「へらこい」という言葉。この意味はずばり「ずるい、悪賢い、腹黒い」という意味で、こう聞くとかなりネガティブなイメージに感じられますが、実際の香川県民には、要領が良く合理的に物事を考える人が多いのだそう。
四国といえば、瀬戸内海に面した温暖な気候から、のんびり温和で人当たりの良い人が多いイメ―ジがあるにも関わらず、なぜ「へらこい」人が多いとされているのでしょうか?
諸説ありますが、香川の面積が全国一狭く、面積の割に人口も多いことが原因とされています。狭い土地に大勢の人が住んでおり、人口密度も高いため、生活するうえで協調性や要領の良さが必要となり「へらこい」性格になっていったとか。また、夏は降雨量が少なく大きな河川もないことから、慢性的な水不足に悩まされており、ため池を作るなど(県内のため池の数は 登録されているだけでなんと1万4,600ほど!)、生きるための様々な工夫を余儀なくされてきたから用意周到になった、という説もあります。
いずれにせよ、こうした「要領の良さ」と「常に備えをしておく」精神は、県民のお財布事情にもはっきり表れています。見栄っ張りを意味する「讃岐の着倒れ」という言葉がありますが、実際の香川県民はとても節約上手で年収に対する貯蓄額も高め。特に、2021年の都道府県別エンゲル係数ランキングでは、47都道府県中38位、かつては最下位だったこともあるほど、食費を節約する傾向があります。
ただ、食費等は節約しますが、教育熱心で子供の教育費にはお金をかける傾向も。あまりに、勉強を重んじるがゆえに、県が「※ネット・ゲーム依存症対策条例」を制定してしまうほどなのです。
面積が狭く、人口密度が高いことから「日本の縮図」と称されることもある香川県。その県民性を知れば日本人についてもっと深く知ることができるかも?
※「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」。18歳未満の子どもに対して「コンピュータゲームの使用は1日60分(休日は90分)を上限」などと定めた条例
そばやそうめんも超一級!? 知られざる香川の麺事情
「うどん県」として有名な香川県。県内には自分でうどんを茹でてうどんを作る「セルフうどん」式のお店が点在し、高校や大学の学生食堂でも生徒自身がうどんをゆがくスペースがあるほど、さぬきうどんが県民食として普及しています。しかし、うどん以外にそばやそうめんもご当地名物であることは、あまり知られていません。
特にそばは「讃岐そば」として有名で、県民の消費量もうどんと同様多く、2022年に行われた家計調査(総務省統計局)の結果では1世帯当たり(二人以上の世帯)「生うどん・そば」の年間支出金額(購入)をみると、高松市が、5,764円で全国第1位。高松市は「日本そば・うどん」(外食)の1世帯当たりの年間支出金額も13,963円で全国平均(5,911円)の約2.4倍を記録しています。
讃岐そばの特徴は、さぬきうどん同様コシが強いことと、熱いつゆを掛けた「かけそば」スタイルで提供されることが多いことです。「日本そば」のイメージというと、つるつるとした喉ごしの細麺でのイメージがありますが、香川ではうどん屋でそばも提供しているお店が多く、うどんと同じようにそばを打つため、通常のそばより小麦粉の割合が多く、太くてコシのあるそばが主流だそう。
また、冬の香川では、野菜や油揚げなど具沢山のあたたかいつゆをかけた「しっぽくうどん」がよく食べられますが、そばも、しっぽくそばなどのかけそばスタイルでいただくことが多いそうです。
小豆島は手延べそうめんづくりで知られており、小豆島そうめんは日本3大そうめん産地の一つとして位置づけられています。
もし香川でうどんを食べたことがあるという方は、ぜひ今度はそばやそうめんを食べに香川を訪れてみては?
桃太郎に浦島太郎、かぐや姫も?香川県はおとぎ話ゆかりの地の宝庫
実は、香川はおとぎ話ゆかりの地の宝庫。ここからは香川県がゆかりの地とされるおとぎ話と、そのスポットについて紹介します。
鬼ヶ島に桃太郎神社も!香川こそが桃太郎伝説発祥の地!?
まず、三匹の家来を連れて鬼を退治するという、おとぎ話の代表格『桃太郎』です。県内にはゆかりの地が点在しており、紀元前100年頃に作られた「鬼ヶ島大洞窟」のある女木島(めぎじま)は別名・鬼ヶ島と呼ばれており、高松市鬼無町には桃太郎と家来が祀られている熊野権現桃太郎神社があります。全国に桃太郎ゆかりの地を名乗る地域は複数ありますが、桃太郎の家来たちの墓があるのはこの神社だけです。
また、育ての親であるおじいさんが芝を刈った「芝山」、家来の雉(きじ)が住んでいた「雉ヶ谷」、鬼退治の勝ちどきを上げた「勝賀(かつが)山」など、物語と同じ地名が残されていることからも、香川=桃太郎伝説発祥の地であるといわれています。
浦島太郎が亀を助けた庄内半島の鴨之越と夕日スポット・丸山島(まるやまじま)
香川県三豊市北西部にある荘内半島には、海を題材にしたおとぎ話『浦島太郎』ゆかりの地名や場所がたくさんあります。まず、荘内半島と粟島、志々島の総称をかつては「浦島」と呼んでいました。さらに、浦島太郎がいじめられていた亀を助けたといわれている浜が、三豊市詫間町にある鴨之越(かものこし)です。
また、鴨之越の沖には干潮時に歩いて渡ることができる丸山島(まるやまじま)があります。現在でも、「エンジェルロード」と称され夕暮れ時の絶景も有名な島なので、昔の人にとって「竜宮城」のような存在であったことは想像に難しくありませんね。
上記以外にも、月のお姫様・かぐや姫が主人公の『竹取物語』のおじいさんの名前が「讃岐造(さぬきのみやつこ)」だったことから、実はさぬき市出身だったのではないか?という説があります。そのため、さぬき市長尾地区では2018年まで「かぐや姫カーニバル長尾」が開催されていました。香川で、少し不思議な日本のおとぎ話を感じてみては?
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