2月22日は日本では「猫の日」!
222の発音が、日本の猫の鳴き声「にゃん・にゃん・にゃん」に近いという、語呂合わせで決まったのだそうです。
一方で、2月22日はある食べ物の日でもあります。冬になると妙に食べたくなるアレ、専門の屋台もあるアレ、そう「おでん」の日です。
こちらも222の語呂合わせからですが、読み方は「ふー・ふー・ふー」。おでんを新潟の名物にしようと活動する「越乃おでん会」により、熱々のおでんに息を吹きかけて食べる様子に由来して制定されました。
ところで、この「おでん」という名前、具材の名前とは関係がなさそうですが、一体どこからきているのでしょう?その由来は、実はお祭りとも縁のあるところにありました。今回は「おでんの日」にちなんで、おでんの語源のお話です。
おでんの語源は、ある芸能の名前から
なぜ「おでん」というのか。いきなりですが結論です。これは実は「田楽」という芸能に由来します。
現在のおでんは様々の具材がありますが、最初は豆腐オンリーでした。しかも、煮込みおでんもまだ存在していません。
豆腐はある時から拍子木型となり、竹串にブスッと刺して焼かれるようになります。平安の頃は味噌ではなく塩をかけていたようですが味噌をつけるようになる室町時代に、味噌を塗って焼いた「お田楽」=「お田」と呼ばれるようになりました。
田植えの時に行われていた「田楽」
田楽って何?と思う方が多いかと思います。田楽とは田植え時に、田植えと平行して行われた芸能です。
平安時代に書かれた藤原道長のサクセスストーリー『栄華物語』には、摂政・藤原道長が後一条天皇の母・彰子を招いて田植えを見たヨ、という記述があります。
そこには田植えをする若い女性「早乙女」と、その田植えを盛り上げるべく男性陣が腰につけた太鼓をポコポコ叩いたり笛を吹いたり歌ったり…という景色が描かれております。
この男性たちの動きが、芸能としての「田楽」に成長します。
田んぼから分離し、芸能部分だけピックアックされた「田の芸能=田楽」は「田楽法師」と呼ばれる下層僧侶たちが行うようになり、都で人気となりました。
鎌倉時代に大流行した田楽
田楽は鎌倉時代に大流行を見せます。大河ドラマで話題となった鎌倉幕府の北条執権も田楽ファンだったそうです。
そんな田楽法師たちが行った芸のひとつに、一本竿の竹馬に演者の男が乗ってホッピングをする芸がありました。
現代のおでんの形状の由来に
この一本竿竹馬に男性が乗っている姿と、串にさした豆腐の姿が似ていることから、「豆腐田楽」の名前がつきました。
そして、時代がすぎ、豆腐以外の具材もふえ、焼き田楽から煮込み田楽に発展し、名称も「お田楽」そして「お田」そして「おでん」に変化を遂げた、という訳なのです。
現代も日本各地に残る田楽
田植えの時に行われていたものが平安時代に芸能化し、鎌倉時代に大流行して、室町時代にはおでんのルーツの豆腐料理の呼び名にもなった「田楽」。現代でも日本各地に民俗芸能として伝わっています。
また、1990年には、狂言師の八世野村万蔵(1959-2004)が学術研究者や音楽家、舞踊家たちとの協働作業によって田楽を今日的に再生した「大田楽」も生まれました。以来、石川県加賀市の山代温泉をはじめ全国の複数の拠点で、市民参加型の祝祭として大田楽が開催されています。
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