日本には、全部で47都道府県があります。
地域によって、街並みやアクティビティ、グルメなどの特徴が異なるように、地元の人々の県民性も様々。このシリーズでは、都道府県ごとの魅力や、ご当地あるあるを紹介し各県のローカル事情を掘り下げていきます。
今回取り上げるのは九州南東部に位置する宮崎県。日本神話のふるさと、伝説の地として知られる高千穂や、大ヒットアニメーション映画『すずめの戸締まり』の舞台の一つとされる日南市、海の絶景が楽しめる青島など、雄大な自然と見どころがいっぱいの宮崎県について一緒に学んでいきましょう!
キャンプ地なのにWBCが観れなかった⁉「どげんかせんといかん」宮崎ならではのテレビ局事情
市街地にヤシの木が生え、美しい青い海が広がる九州きっての南国・宮崎。気候も、年間快晴日数が常に上位をキープ。1年を通して温暖で快晴の日が多いため、プロスポーツの合宿やキャンプ地としても人気です。
宮崎県は特にプロ野球のキャンプ地として人気が高く、読売ジャイアンツ(巨人軍)、福岡ソフトバンクホークス、埼玉西武ライオンズ、広島東洋カープ、オリックス・バファローズ、東京ヤクルトスワローズなどたくさんの球団がキャンプ地に採用しています。
2023年3月に開催された、野球の世界一を決めるWBC(World Baseball Classic)で日本代表“侍ジャパン”のキャンプ地に選ばれたのも、実は宮崎県宮崎市。合宿期間中、日本のテレビでは連日のように侍ジャパンの宮崎キャンプの様子が報道され、アメリカを下し3大会ぶりに日本一に輝いた際も日本中で大きな話題を呼びました。
しかし、キャンプ地だったにも関わらず、宮崎県内ではいくつものWBCの試合が放送されていません。なぜって?宮崎県には公共放送以外の民放が2局しかなく、WBCの放映権を持っているチャンネルが放送されていなかったから。。。
例えば、日本が快勝し準決勝進出を決めた日本vsイタリア戦も、事前キャンプは宮崎で行われていたのに、県内にテレビ朝日の系列局がないため放送されておらず、WBC決勝戦に至っては「日本が優勝したのは、他の人のTwitter(現在のX)で知りました」という宮崎県民も続出!「民放がダメでもケーブルテレビなら観れるのでは?」と思いきや、宮崎では工事可能地域が限られており、一部地域の県民しかケーブルテレビ自体が観れないのです。
こうした事態に、元知事の東国原英夫氏も、「どげんかせんといかん!(『どうにかしないといけない』という宮崎弁)」とSNSで危機感を訴えるほど。侍ジャパンの優勝決定後、選手たちを激励する投稿でも、「残念ながら、宮崎では決勝戦等を地上波ではOAしておりませんでしたが、選手・スタッフ・大会関係者等のすべての方々に、キャンプ地として、心より御礼を申し上げます」と締めくくっていました。
果たして、次回以降、宮崎県民が侍ジャパンの全試合を観れる日は訪れるのか、要チェックです。
アニメ映画『すずめの戸締まり』内にも登場!宮崎弁にはかわいい言い回しが多い⁉
世界各国で上映され、日本国内の最終興行収入が約147.9億円を記録した新海誠監督の『すずめの戸締まり』。この作品は、日本各地の廃墟を舞台に、主人公・鈴芽(すずめ)が災いの元となる扉を閉めていく、というストーリーなのですが、実はそのスタート地のモチーフは宮崎県。さらに、主人公の鈴芽は、日本神話の※天岩戸伝説に出てくる天岩戸がモチーフになったキャラクターです。
『すずめの戸締まり』でも使われた宮崎弁の言い回し
作品の随所に宮崎の方言「宮崎弁」が登場し、「~ちょ」や「~ちゃ」「ちゃわ~」などを使った宮崎弁の言い方が可愛らしいことも話題となりました。ちなみに、劇中にも登場した「~ちょ」や「~ちゃ」を使った言い回しは以下の通り
- 顔赤いっちゃない?(kao-akaiccyanai)- 顔赤くない?
- 寝不足でやべっちゃわ(Nebusoku-de-yabeccyawa)‐ 寝不足でつらいんです。
- 心配で戻ってきたっちゃが(Sinpai-de-modottekitaccyaga)- 心配で戻ってきたんだけど。
- なんじゃったっちゃろね?(Nanjatta-ccharone)- 何だったんだろうね?
ちなみに、「~ちゃ」は「です」や「~している」など断定的な言い方をする際に使い、「ちゃわ」は「~なの?」「したんだよね?」など、話し相手へ相槌や質問する際に使われます。
また、「まこつ」や「まこつや」や、「てげ」なども、県民の会話ではよく登場する言葉です。
まこつ(makotsu)/まこつや(makotsuya)-本当
- (例文)まこつ?
- (意味)本当に?
てげ(tege)-とても、かなり
- (例文)てげ、好きやっちゃわ~
- (意味)とっても好きなの。
可愛いと評判の宮崎弁。ぜひマスターして、旅行中に使ってみては?
※ 天岩戸に隠れて引きこもってしまった太陽の神・天照大御神(あまてらすおおみかみ)を、天鈿女命(あめのうずめのみこと)はじめ、他の大勢の神々がある作戦で外に連れ出し再び世界が光を取り戻す、というストーリーの日本神話。宮崎県高千穂町にはこの「天岩戸」が祀られた天岩戸神社がある。
宮崎県民は全国有数ののんびり屋!「日向時間」で沖縄に対抗
沖縄県民のゆったりとした時間感覚を、「沖縄時間」「ウチナータイム」などと呼びます。同じく宮崎にも「日向時間」という言葉があります。日向とは、今の宮崎県を含む南九州の地域に関する昔の呼び名のことです。
これは宮崎県民ののんびり時間感覚や県民性を表す言葉で、宮崎市広報のSNS投稿によれば「約束の時間から30分過ぎに集まるのが当たり前というような、良くも悪くものんびりとした県民性を表した言葉」なのだそう。
実際、良い天候と雄大な海の絶景、海の幸に地鶏など、おいしい食べ物にも恵まれた宮崎の人々は総じておおらか。明るく楽しい雰囲気を持った人が多いのが特徴です。
また宮崎には、お人よしを意味する「いもがらぼくと」という言葉があります。これは、里芋の茎「いもがら」でできた木刀「ぼくと」からきた言葉で「見た目は立派だが、中は空洞」を意味し、宮崎の男性像を表す方言となっています。
日本人にとって「九州男児」というと、「亭主関白」「がんこで芯が強い」「勇ましい」「行動力がある」など、リーダー気質の強いイメージがあるのですが、宮崎の男性の気質は真逆。自分から率先して何かを行うよりは、流れに身を任せたいという人も多いとか。
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