日本には、全部で47の都道府県があります。
地域によって、街並みやアクティビティ、グルメなどの特徴が異なるように、地元の人々の県民性も様々。このシリーズでは、都道府県ごとの魅力や、ご当地あるあるを紹介し各県のローカル事情を掘り下げていきます。
今回取り上げるのは、北陸の人気エリア富山県。立山黒部アルペンルートや、白川郷と共に世界遺産に認定されている五箇山、宇奈月温泉など絶景と温泉アクティビティ満載の富山について一緒に学んでいきましょう!
見栄っ張りで持ち家、車所持率は全国トップクラス!冠婚葬祭や家族ごとに関する金遣いが豪快な富山
広い戸建て住宅が並ぶ北陸。中でも富山は、持ち家率が高いことで知られています。
なんと国勢調査が始まった1960年から2015年までの富山県の「持ち家」率(住宅に住む一般世帯に占める持ち家の割合)は全国1位。その後、2018年以降は順位を下げましたが、それでも2021年の持ち家比率はなんと76.8%で、全国平均61.2%と比較するとかなりの高水準です。
こうした持ち家率の高さは、地価の安さや共働き世帯の多さなどの他に、富山県民には伝統的に「家を持って一人前」という意識が強いから。昔から富山に「越中の一つ残し」という、「家や土地など一財産を残すこと」を意味する言葉がある事も、富山県民の県民性をよく表しています。実際、富山県では広くて豪華な戸建て住宅が多く、2015年度は「一住宅当たり延べ床面積の都道府県比較」でも152.18㎡で全国1位を獲得したことがあります。
また、世帯あたり乗用車台数に関して2021年には2位を記録。結婚式の引き出物など、冠婚葬祭の来場者へのギフトに全国平均の倍近い金額をかけるなど、見栄っ張りな一面も。
その他にも、お墓を作る際には大きく、そして雨や積雪によって水が染み込まないよう、納骨室(お骨を入れるスペース)を地面より上につくるなど、葬儀にもかなりお金を使うそう。家財や家族行事、冠婚葬祭には金に糸目はつけない、それが富山流の贅沢なのです。
「富山の薬」が有名になったきっかけは江戸城腹痛事件!
「富山県」と聞いて思い浮かべるものは何でしょうか?
富山というと、立山黒部アルペンルートの巨大な雪壁「雪の大谷」や黒部ダム、宇奈月温泉など、絶景や温泉にまつわる観光スポットのイメージが強いですが、日本では実は「薬の街」としても有名で、「富山の置き薬」はなんと300年以上ものの歴史を持ちます。現在も、県内には医薬品製造業者や、製造所数がたくさんあり、JR富山駅前には、置き薬の薬売りを追いかける子どもや、紙風船をもらって喜ぶ少女の銅像が設置されています。
富山が薬で有名になったきっかけは、江戸時代の元禄3年(1690年)冬、江戸城内で起こったある事件に由来しています。当時、富山藩2代目藩主の前田正甫(まさとし)が江戸城に参勤した際に、ある大名が激しい腹痛になってしまいました。その時、正甫公が携帯していた富山の妙薬「反魂丹(はんごんたん)」を服用させたところ、大名は驚異的に回復したそうです。現場にいた他の大名たちは驚き、正甫公に自分たちの藩への薬の販売を求めたそうで、この「江戸城腹痛事件」をきっかけに「富山の薬」が日本全国に広まりました。
当時の富山藩は度重なる河川の氾濫で水害が起こり、その対策で財政が逼迫していたため、正甫公は大名たちの要望に従い全国各地へ出向いて薬の行商販売を行うことにしました。
富山の薬販売は「先用後利(せんようこうり)」という独自の販売システムで、商人がまず客に薬を預け、その後定期的に家庭を訪問し、服用された薬の代金のみを回収するというもの。当時は、医療が普及していなかったうえ、いつ必要になるか分からない薬を一般庶民が数種類も常備しておくことはとても困難だったので。様々な薬を手元に置いておけて、使用した分の代金だけを支払えばよいというシステムは利便性が高く、様々な地域の人々に広く受け入れられました。
また、定期的に各家庭を訪問するため信頼関係も深まり、行商人と各家庭が「親戚同然」の付き合いをすることも珍しくはなかったとか。富山駅に、薬売りから紙風船をもらって喜ぶ少女の銅像があるのも象徴的ですよね。
ちなみに、この富山の「先用後利」という置き薬システムは、現在様々な製薬会社によって全国各地で行われており、他のマーケティング手法にも生かされています。
実は賛否両論!地元民も「富山ブラックラーメンはしょっぱすぎる」と思ってる⁉
富山グルメを代表する一品と言えば、「富山ブラックラーメン」。
「富山ブラック」とも呼ばれる、昭和30年(1955年)頃に富山県富山市で誕生したご当地ラーメンで、濃口しょうゆを煮詰めた真っ黒なスープに、粗挽き胡椒や大量の刻みネギのトッピングでパンチがあり、さらに豚バラチャーシューの脂の甘みがしっかり味わえるのも特徴です。
元々は、汗をかく肉体労働者のために塩分補給として味の濃いスープの醤油ラーメンが作られたのがはじまりで、ごはんと一緒に食べることを想定し、スープが塩辛い味付けになったといわれています(当時は客がご飯を持参するのが当たり前だったため)。
現在も、富山県内にはたくさんブラックラーメン店があり、「東京ラーメンショー」で連続一位を獲得した麺屋いろはのような人気店もありますが、そのパンチの効いた味わいは、実は地元民の中でも賛否両論。
「 胡椒の香りが強めで食欲をそそる」「塩味強めでおいしい」という声がある一方、「あんなのしょっぱすぎる」「富山に来たらブラックラーメンより、まず寿司を食べたほうが良い」などの辛辣な意見も。。。
なんと、検索エンジンで「富山ブラックラーメン」を日本語で検索すると、予測変換で名店やチェーン店の店名と並んで「しょっぱい」のキーワードが出てきてしまうほどなのです。
インパクトのある真っ黒な醤油スープに、たっぷりの黒コショウが効いて後を引くしょっぱさが特徴の「富山ブラックラーメン」。実際、おいしいと感じるかどうかは、ぜひ本場の味にTRYして自身で見極めてみて!
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