「もうすぐ忘年会シーズン到来!日本でおさえておきたい居酒屋メニュー&酒の豆知識」でも紹介した通り、日本では「忘年会シーズン」と呼ばれる12月から年末年始にかけて、たくさん飲み会が開催されます。この記事では、忘年会シーズンならではのユニークな日本語や日本旅行中に役立つ“SAKE”の楽しみ方やお正月の酒文化について紹介。年末年始に訪日旅行したい人はぜひチェックを!
※未成年の飲酒は禁止されています。
日本旅行でぜひTRYしたい本場の“SAKE”!冷やから熱燗まで、温度で変わる日本酒の名前
お米(酒米)と麹に水を加え、発酵させて造る日本酒。今や世界中で「SAKE」の名称で愛されていますが、日本では飲む際の温度で味わいや香りが変わり、呼び名も変わります。
ここでは、温度ごとに変わる味と日本酒の呼び名を紹介!訪日旅行の際に、様々な温度の飲み方にTryして、自分好みのお酒の温度を探してみては?
日本酒は冷やしてor温めて飲むとどう変わる?
日本酒を冷やして飲む場合は、「冷酒」と呼びます。一般的に、冷やした日本酒はキリッと爽やかな味わいに感じられ、スッキリとした清涼感が楽しめます。冷やして楽しむ飲み方の中には、凍るか凍らないかギリギリの状態まで冷やしたお酒を注ぎ作る「みぞれ酒」と呼ばれる楽しみ方もあります。これは、凍るギリギリの温度のお酒が、グラスに当たった衝撃でみぞれ状になるというもの。シャリシャリ食感と作る工程自体もパフォーマンスとしても楽しめます。
常温(約15~25℃)で飲む場合は「冷や」と呼び、冷酒よりも日本酒本来の香りや口当たりの良さが楽しめるのが魅力です。
また、冬のシーズンにおすすめの飲み方は何といっても熱燗です。温めることで、原料である米の味わいが引き立ち、芳醇な香りを楽しめて、カニ料理や鍋など冬の味覚との相性もバッチリ!正月に、こたつに入りながらや正月料理をつつきながら家族で熱燗をたしなむのも、日本人家庭の伝統的な過ごし方です。
温度で変わる日本酒の呼び名
上で紹介した通り、日本酒は冷酒、冷や、熱燗で大まかに3つに分かれますが、冷酒や熱燗に関しては、さらに5度刻みで細かく名前があります。
主な名称は以下の通り。
<冷>
- 5℃:雪冷え
- 10℃:花冷え
- 15℃:涼冷え
<燗>
- 30℃:日向燗
- 35℃:人肌燗
- 40℃:ぬる燗
- 45℃:上燗
- 50℃:熱燗
日本の忘年会シーズンに知っておきたい!お酒にまつわるユニークな日本語
忘年会シーズン、お酒の席では、ユニークな日本語がたくさん飛び交います。ここからは日本の大学生や会社員が忘年会でよく使う日本語や和製英語の意味をご紹介!
会話でよく使われる酒用語
上戸・下戸(じょうご・げこ/Jocho・Geko)
日本ではお酒をたくさん飲む人か否かを「上戸(じょうご)」と「下戸(げこ)」と表現します。上戸はお酒が強く、下戸はお酒に弱く、すぐ酔ってしまう人のことを指します。これは、約1300年前の法典「大宝律令」によって定められた、「家庭内に青年男子が人数いるかによる各家庭の階級付け」にちなんだ言葉、とされており、当時、男子が多い家庭「上戸」と少ない家庭「下戸」で、婚礼など冠婚葬祭の時に支給される酒の量にも違いがあったことから、現在「上戸」はお酒を飲める人、「下戸」はお酒を飲めない人を表すようになったといわれています。
- 使用例:
- Aさん「Bくん、1杯目からずっとバナナシェイクしか飲んでないの?」
- Bくん「うん、僕下戸だから甘いフルーツジュースしか飲めないんだ」
無礼講(ぶれいこう/Bureiko)
無礼講(ぶれいこう)は、企業の忘年会などでよく使われる言葉の一つ。身分や組織内での上下関係、堅苦しい礼儀作法を考えないで飲むことを指します。社長や上司、先輩など、ふだんは立場や年齢に差がある者同士が、気軽に交流するための言葉です。ちなみに、無礼講のように日常的に使われる言葉ではありませんが、例を重んじる酒席のことを「礼講」と呼びます。
- 使用例:
- Bくん「C会長、先月入社したばかりのBと申します。グラスにおビールつがせていただきます!」
- C会長「おお、君が新しく入った子か!今日は無礼講だから、Cさんでよいよ。うちに関する意見なんでも言ってくれていいからね」
- Bくん「ありがとうございます、では遠慮なく! Cさん、僕、来月から別の部署に行きたいです!」
ちゃんぽん(Champon)
「ちゃんぽん」といっても、酒の席のちゃんぽんは、おいしい麺料理のことではなく、1回の酒席で様々な種類のお酒を飲むことを指します。例えば、1杯目はビール、2杯目はレモンサワー、3杯目は日本酒、4杯目はウイスキー…など、違う種類のお酒を飲むため飽きは来にくいのですが、アルコール度数やサイズが異なるお酒を飲んでしまうため、自分の限度以上に飲んでしまう場合も多く、悪酔いしやすいと言われています。
- 使用例:
- Aさん「Dくん、ちゃんぽんで飲みすぎ!ちゃんとお水飲みなよ!」
- Dくん「ちゃんと水飲むからもっと色々飲ませてよ。俺、あと10杯は飲まないと帰らないからね!」
せんベロ(Senbero)
「千円でベロベロになるまで飲める店」という日本語文章を略した言葉で、お酒を安く楽しむことを指す言葉です。安価な大衆居酒屋や立ち飲みバーのことを指し、上野や御徒町、浅草、赤羽、池袋、新宿などにはせんベロの人気店が数多く集まっています。また、通常の居酒屋でも、おつまみ数種と1杯がセットになったせんベロメニューを提供する店もあります。
- 使用例:
- 店員E「ご注文いかがですか?」
- Bくん「せんベロセットに、もつ煮込みとおでんください!」
飲みほう(飲み放題/Nomihodai)
飲み放題(略して飲みほう)とは、一定の料金を支払うと、時間制限内で指定メニュー内のお酒であれば何杯でも楽しむことができる日本の飲食店ではポピュラーなシステムで、最初から飲む放題付きのプランがある場合と、料理を注文する際に、追加料金を払って飲み放題をつけるパターンがあります。忘年会シーズンや団体での飲み会の際には非常に便利で、料金を気にせず長時間楽しめる点が魅力です。
- 使用例:
- Bくん「僕はソフトドリンクだけで十分だけど、Dくん飲み放題つける?」
- Dくん「え!Bくん全然飲まんの?じゃあ、俺だけ飲みほうつけようかな」
オール飲み(Oru-nomi)
深夜帯や電車の始発まで夜通しお酒を飲んだり遊んだりするのを日本人はよく「オールする」と言います。忘年会シーズンになると、飲食店の閉店時間や終電時間までご飯を食べたりお酒を飲んだりしてから、朝5時頃まで開いているカラオケなどのエンタメ施設や、深夜営業のバーに移動し、始発まで同僚や友人と楽しむ日本人の姿を多く見かけるでしょう。
- 使用例:
- Dくん「うわ~!話し込んだら終電逃しちゃったな。Bくんどうする?」
- Bくん「僕はここから20分ぐらい歩いたら、家帰れるから今日は帰ろうかな?」
- Dくん「え、家近いの!じゃあ、Bくん家で、オールで家飲みしよう♪」
- Bくん「え……いいよ」
忘年会シーズンに日本人がよく行う習慣
飲みにケーション(Nomini-cation)
「飲みに行く」ことと「コミュニケーション」を組み合わせた造語。日本には、会社の上司や同僚とお酒を飲むことで、仕事に関するコミュニケーションも円滑になるとする考え方があり、飲みにケーションの一環として、忘年会や社員の歓送迎会を強制参加とする企業もあります。
宴会芸・宴会ゲーム(Enkai-gei・Enkai-game)
現在は、コロナ禍などを経て廃止されている場合もありますが、企業や学校の忘年会など、大人数の飲み会では宴会芸や宴会ゲームが盛り上げ要素としてよく用いられます。宴会芸とは、参加者を楽しませるため行われる歌や踊り、物まねやお笑いなどのパフォーマンスのこと。また、宴会ゲームでは、ビンゴやクイズ、じゃんけんなどで景品や賞金を競います。
酒の締め(Sakenoshime)
日本では、飲み会や忘年会の締めくくりとして、一本締めや三本締めなどの参加者全員での「※手締め(手打ち)」が行われます。
また、飲み会の後に「酒の締め(〆)」としてラーメンなどを食べるのも一般的。最近は、お酒を飲まない若い層を中心に夜パフェや夜アイスなどのスイーツを食べる人も増えています。酒の締めは、楽しいひとときを締めくくるための重要な要素となっています。
※掛け声とともにリズムを合わせて行われる手拍子のこと。冠婚葬祭や行事ごと等が終わったことを祝う日本の伝統的な風習
これぞ日本の新年の習わし!お正月に覚えておきたい酒用語
「年越し(Toshikoshi)と初詣(Hatsumode)に関する豆知識 日本の年末年始の過ごし方」にも記載している通り、日本では年越しや正月に祝い酒を飲む習慣があります。ここでは、お正月シーズンに知っておきたいお酒用語を紹介します。
お屠蘇(Otoso)
お正月に、一年間の邪気を払って長寿を願って飲まれる祝い酒のこと。伝統的には、日本酒とみりんに生薬を浸け込んだ薬草酒を、「屠蘇器」という朱塗りのお銚子と三段重ねの盃でいただくのが作法でしたが、現在は日本酒を普通の酒器で飲む家庭も多いです。また、酒器の数が足りない場合は、ひとつの酒器を使用して1杯ずつ3回に分けて飲み干せばいいとされています。
お神酒(Omiki)
神様にお供えするお酒のことで、神社や神棚でお供えする神饌(しんせん)の一つ。神様にお供えしたお神酒には霊力が宿るとされ、正月の初詣では無病息災を願って参拝者に御神酒をふるまう神社もあります。
たる酒(Taruzake)
杉製の樽に一定期間貯蔵され、杉の木香がついた日本酒のこと。お正月や祝いの席では縁起の良いお酒として、鏡開きし、行事の参加者にふるまわれます。
鏡開き(Kagami-biraki)
鏡開きは、新年の仕事・行事初めの特別な儀式の一つで、日本酒の酒樽の上蓋を木槌で割って開封する神事のこと。「鏡開き」の「鏡」は円満、「開く」は縁起の良い末広がりを意味し、「鏡」を開くことにより「運」を開くという意味があります。
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