大分・別府温泉にからあげの聖地も!おもしろ名物満載の九州の雄【日本の47都道府県 発掘シリーズ:大分(Oita)編】

  • Jan 29, 2024
  • Dec 5, 2023
  • Asami Koga

日本には、全部で47都道府県があります。

地域によって、街並みやアクティビティ、グルメなどの特徴が異なるように、地元の人々の県民性も様々。このシリーズでは、都道府県ごとの魅力や、ご当地あるあるを紹介し各県のローカル事情を掘り下げていきます。

今回取り上げるのは、九州地方の大分県。別府温泉や由布院温泉など、日本一の温泉県である大分について一緒に学んでいきましょう!

大分は日本一の温泉県!温泉つき住居、ジモ泉で毎日温泉を楽しむ人も!

大分県といえば、言わずと知れた温泉県。なんと、県内のほぼすべて(16市町村)で温泉が湧き出ており、「源泉数」「湧出量」ともに日本一の温泉どころです。

有名温泉地の「別府」や「湯布院」では、街のいたるところに足湯や温泉旅館や湯めぐりスポットがあり、観光客でも気軽に温泉を楽しめますが、地元民にとってまだそれは序の口。

ここでは、温泉大好きな大分県民の温泉の楽しみ方を紹介します。

毎日温泉入浴は当たり前⁉温泉付き住居の購入や賃貸で、自宅で温泉を楽しむ猛者も

大分を代表する温泉郷、別府。市内には「別府八湯」として知られる8つの温泉があり、道路の側溝を流れる温泉水から、湯気が立ち昇っている光景がいたるところで見られます。

市民は、毎日温泉に入る人も珍しくなく、地元民の中には、※温泉権(温泉引湯権)と呼ばれる温泉を引く権利を申請して、自宅のお風呂に温泉を引く家庭や、家探しの際に「温泉付き物件」を選ぶ人も!

温泉付き物件とは、借りたり購入したりした時点で温泉権や設備が整っていて、そのまま温泉が利用できる物件のこと。一般に、複数住戸で1つの浴場を共有する共同浴場タイプと、1住戸で浴場を使用する専用温泉タイプの2種類があり、共同浴場タイプは賃貸物件に、専用温泉タイプは戸建て物件に多いそう。

ちなみに、温泉は一般の水道とは別の蛇口から出るため、水道料とは別途利用料がかかりますが、定額のことが多く、風呂を沸かすための水道代、ガス代が不要になるため、光熱費の節約にもなるのだそう。贅沢なように見えて、実はコスパが良いのも人気の理由かもしれません。

気軽に温泉コミュニケーション!真の温泉通はジモ泉(地元温泉)に通う

温泉王国・大分には昔から“ジモ泉”文化があります。ジモ泉とは「地元の人が格安で利用できる共同温泉」のことで、100~300円と利用料が安価なうえ、中には無料で利用できる施設も!

ジモ泉の魅力は、温泉ごとに泉質が異なり、事前申し込みすれば貸し切りで使える施設、”組合員専用浴場”などの会員制の共同浴場、温泉の源泉を持ち帰れる施設などもあること(ただし、源泉は90度など超高温なので注意が必要。。。)。

ディープで温泉好きな地元民が通うジモ泉は、まさに温泉県ならではの、市民の交流と憩いの場なのです。

別府八湯の一つ、地獄蒸しや湯けむりでも知られる「鉄輪温泉エリア」も、実はジモ泉の聖地。大分に滞在するなら、ぜひジモ泉にもTRYして、伝統の温泉文化を体験してみては?

※温泉引湯権以外にも、温泉を汲み上げるために必要な「湯口権」、引湯権を持つ人から温泉を分けてもらう「分湯権」など、様々な温泉権がある。

から揚げが名物!聖地・中津や宇佐の専門店、竹田や佐伯の一本揚げにも注目!

九州は、全国的にみても鶏肉の消費量が高いことでよく知られていますが、中でも大分県民は鶏肉が大好き!

2023年発表の総務省の家計調査によれば、去年1年間の1世帯あたりの鶏肉購入額と消費量で大分市はなんと日本一。いかに鶏肉が食卓に根付いているかがうかがえます。

別府市のとり天をはじめ、鶏を使った様々なご当地料理が存在しますが、特に食卓に欠かせないのが唐揚げ!

県北エリアには「からあげの聖地」として有名な中津市や、唐揚げ発祥の地としても知られる宇佐市などがあり、市内にはからあげ専門店が点在。

醤油やにんにく、しょうがをベースにしたタレでしっかりと味つけてから揚げるからあげは、ジューシーでご飯にも合うため、地元民の食卓や大人数のイベント・会合などで定番のおかずとなっており、近年は人気店が関東・関西に進出するほど。どの専門店もタレの味にこだわっており、店舗ごとに味が全然違うため、各家庭で利用する専門店が分かれるのも特徴です。

中津からあげ
一本揚げ©大分県竹田市 竹田丸福食堂

対して、県南の佐伯市や県西の竹田市では、塩味ベースの「一本揚げ」が有名です。

一本揚げとは、「手羽」や「もも」など、大ぶりの肉にニンニクやスパイスを馴染ませて、衣なしで揚げた料理のこと。一口サイズのからあげとは異なり、ボリューム満点でパリッとした皮目がクセになります。佐伯市内にある「肉の城南」が特に有名店ですが、他にも専門店がたくさんあり、各店で味つけが異なりますので、ぜひ色々食べ比べてお気に入りを探してみてくださいね!

トンネル数にかぼす生産量、大分県にはユニークな全国1位がいっぱい!

あまり知られていませんが、実は大分県には日本一がたくさんあります。ここでは大分県が誇る日本一のほんの一部を紹介します。

大分県民にとってカボスは「買うものではなく貰うもの」

大分が誇る日本一の1つが、柑橘類・カボスの生産量。国内生産量の90%以上を占める大産地で、その歴史は、江戸時代(1603〜1868年)に臼杵市で薬用に栽培されたのが始まりと言われており、現在県内では、臼杵市、竹田市、豊後大野市などが主な産地となっています。

産地周辺の県民にとっては、カボスは「買うものではなくご近所から貰うもの」。食卓にも欠かせない食材で、名物のとり天やからあげ、焼きしいたけなどに果汁をかけるのはもちろんのこと、刺身醤油に混ぜて薬味がわりに使う、※だんご汁に入れる、カレーにかける、オレンジやレモン代わりにカボススイーツやケーキを作る、ジュースにする、極めつけは梨などの別のフルーツにも果汁をかけて食べる(!)ほど、全体的にカボス愛がかなり強めだとか。

※小麦粉をこねて薄く帯状に引きのばした団子を野菜や肉とともに、味噌や白味噌仕立てで汁ものにした郷土料理

実は大分は北海道よりトンネルが多い!山好きの聖地・大分

大分県のもう一つの日本一がトンネルです。県土の約7割が山地で、県南には日本有数のリアス式海岸が広がる大分県。こうした地形の影響で、実は北海道よりもトンネルがたくさんあります。

北海道の面積は83,454 kmで全国の約5分の1、対して大分県の総面積は6,341 km²で全国22位、面積にこれだけの差がありながら、大分はトンネルの本数では596本で全国トップ。2位の北海道505本(札幌市分含む)に大差をつけています。

中でも有名なのが、中津市耶馬渓の青の洞門で、これはかつて難所であった場所を安全に通れるようにする為に禅海和尚が手掘りで掘ったトンネル跡で、現在でもその一部が残されており、内部を徒歩で散策することができます。ちなみに耶馬渓は、秋の大分を代表する紅葉の名所です。

実はラーメンも名物!豚骨スープでも博多ラーメンとは全然違う佐伯ラーメン

九州といえば、とんこつラーメン!博多ラーメンに久留米ラーメン、熊本ラーメンなど、各地においしいご当地ラーメンがありますが、大分にも「佐伯ラーメン」というとんこつラーメンがあります。

佐伯ラーメンの特徴は何と言ってもしょうゆ豚骨系の塩気のある濃厚スープと、よく絡む中太ストレート麺。博多ラーメンの、針のような細麺とあっさりしたスープとの組み合わせや、ニンニクがガツンと効いた熊本ラーメン、そして大分市内のラーメンとも異なる味わいがクセになります。

市内には50店舗以上の佐伯ラーメン店があり、ラーメンマニアが食べ歩きに訪れるほど。独自のとんこつラーメン文化が生まれた背景には、佐伯市が大分県の南東端にあり県内からのアクセスも難しい立地だったこと、太平洋に面する港町で造船業を営む人や漁師などが多かったため、とんこつベースでも塩気の強い味付けのスープが好まれたことから、生まれたのではないかともいわれています。

大分のご当地ラーメンの聖地、佐伯。海鮮もおいしいエリアなので、大分を旅する際にはぜひ訪れてみては?

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