【日本の美食】地方のB級グルメめぐり「奈良」編

奈良 Nara

古都・奈良は、鹿と大仏だけでなく、日本食文化の発祥地でもあります。お茶、日本酒、豆腐など今でも日本食によく使われている食材も奈良が発祥。現在の奈良は、伝統の味を伝えるだけでなく、新しい美食の文化を創り出しています。今回、古都・奈良の味覚をめぐります。

「B級グルメ」とは?

その土地を代表する伝統的なご当地料理とは異なり、B級グルメでは、観光客の目をひくような和食ならではの調理方法や華やかで季節感のある盛り付けは行われません。地元の食材で調理し、地元の人々に長く親しまれているソウルフードのことを言います。

奈良グルメの特徴

奈良 Nara

奈良は、日本で8つある海なし県のひとつです。奈良の盆地は、温暖な気候と豊かな土壌に恵まれていて、昼夜の気温差も激しく農産物の栽培に適しています。そのため昔から、奈良は農業が非常に盛んでした。大和野菜(奈良の古称・大和)、大和茶、米など、日本の食文化の発展の基礎となりました。

奈良の農作物の生産量と農業用地の面積は日本国内では大きいとは言えませんが、近年は、多品目少量生産ながら高い栽培技術を駆使し、独自の多彩な農業を展開しています。例えば、県産の様々な野菜が「大和野菜」というブランドで知名度を広げているほか、2011年にブランド苺として品種登録された「古都華(ことか)」や、古くから伝承されている古代米などがその例です。新旧の農産品が共存して生み出す豊かさが、奈良の食文化をさらに多元的にしています。

奈良のB級グルメ

その他の県と比べると、奈良のB級グルメはとてもあっさりとした味で、肉類の割合が少なめです。これは、奈良の食文化の多くが寺社仏閣発祥なことと関係があるかもしれません。それでは、奈良らしさ満載のB級グルメを見ていきましょう!

茶粥(ちゃがゆ)

茶粥(ちゃがゆ)

日本におけるお茶の栽培は、9世紀に弘法大師が中国から茶の種子を持ち帰り、奈良県宇陀市の佛隆寺で開始したのが始まりと言われており、それが奈良の「大和茶」が有名になった理由でもあります。

「茶粥」は水の代わりにお茶で煮込んだお粥のこと。1200年前に僧侶の食事として誕生し、その後徐々に庶民にも広まり、朝食として奈良県民の日常食となりました。現在奈良県内の飲食店では、朝食だけでなく昼食でも茶粥を楽しめます。

手延べそうめん

手延べそうめん

白く細いそうめん発祥の地も奈良です。場所は奈良県桜井市三輪、ここで作られた手延べそうめんを「三輪素麺」と言います。江戸時代にはすでに有名で、美食など日本各地の産物を記した書籍『日本山海名物図会』に、日本で最も美味しい素麺として記載されています。

素麺を美味しくしている所以は奈良の良質な小麦と製粉技術です。素麺本来の味はとても素朴なので、色々な料理に適しています。例えば、夏の冷やし素麺や冬の温かいにゅうめんにもとても合います。

大和肉鶏

大和肉鶏

第二次世界大戦前、奈良は日本三大養鶏地の一つでした。農民は本業以外に鶏を飼い、副業にしていたのです。これが最初の「大和肉鶏(やまとかしわ)」です。ちょうど良い脂肪量、歯応えがよく、関西で名声を博します。しかし、第二次世界大戦後、その存在は一度消えます。その後1982年に市場に再び流通し始めました。これが次世代の大和肉鶏、幻の鶏肉が復活した貴重な鶏といえます。

天理ラーメン

天理ラーメン

天理ラーメンは奈良県天理市発祥のラーメンで、その特色は大量の白菜と豆板醤・にんにく入りのスープ、運ばれてきた時の真っ赤な色。辛そうな色ですが、水分豊富な白菜が辛みを中和し、一口また一口と止まりません。こってり系のラーメンです。天理市は天理教からその名がつけられました。

かき氷

かき氷
出典:農林水産省

日本のかき氷の起源は奈良時代(710〜794年)にまで遡ります。昔、皇室に氷を献上していた氷室神社は、「氷の聖地」と呼ばれ、現在でも、日本の製氷業関係者の信仰の中心となっています。

このご縁もあって、近年奈良市内ではたくさんの新しいかき氷が創り出されています。また、全国のかき氷の名店が集うイベントも毎年開かれ、専門店も現れたことで、一気にかき氷の聖地となりました。かき氷専門店の中でも有名なのが「ほうせき箱」というお店。奈良産の食材にこだわり、見た目も味も兼ね備えたかき氷を作っており奈良で外せない名店となりました。

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