コンサートや映画チケットの半券、博物館の入場券、鉄道の記念切符…人々は旅の思い出に何かしらの「記念品」を持って帰る。お城を観光した場合に記念に持ち帰れるのが、実は入場券だけではないことを知っているだろうか?最近、日本で人気爆発中の「御城印(ごじょういん)」。これもお城観光で持ち帰れる思い出の品の1つなのだ!
FUN! JAPANの記事では何度も日本のお城を紹介してきたけれど、城をただ観る・眺めるだけでは勿体ない。むしろ御城印を入城証明や登城記念として集めることが最先端の楽しみ方だ。お城好きなら、今度の旅行のテーマは「お城巡りwith御城印」に決まりだ!
まずはじめに:御城印って何?
「御城印」は「入城記念書」、「入城記念符」、「登城証明書」など様々な呼び名があるように、登城の証明書で記念品的な存在である。デザインは和紙にお城の名前などの墨書きと城主の家紋などの朱印をあしらったものが一般的で、お城や地域にちなんだものが多い。稀に手書きもあるが、あらかじめ印刷されているものがほとんどだ。
大半の御城印は300円前後で販売されているが、なかには500円や1,000円のものも。また、イベントなどで無料頒布されるものもある。城内、近隣の観光案内所、資料館や博物館など、お城ごとに頒布場所が異なるため、登城する前に一度確認しておくことをおすすめする。
イメージとしては、お寺や神社でいただける「御朱印(*1)」のお城バージョン。手に入れるのに難しい作法やルールがない分、ポストカードのような手軽に買えるお土産と捉えるのが良いだろう。
*1:御朱印(ごしゅいん):朱印などが押印された、神社や寺院に参拝した証として授与されるもののこと
御城印を最初に世に送り出したのが、長野県・松本城だと言われている。1991年頃の「天守閣登城記念朱印符」が起源とされているが、御城印が実際全国的に注目されるようになったのはここ3~4年のこと。2014年頃から日本で大きな話題となった神社仏閣の御朱印や、戦国武将を題材としたドラマの人気に伴うお城巡りブームによって、御城印を発行するお城が一気に急増したという。
もはやアート作品!集めたくなる個性豊かな御城印
御城印は2020年時点で500城以上から発行されていたが 、今やその数は1,000以上になるという。ここからは、御城印の多種多様なデザインを鑑賞していこう。
御城印には、一般的に下記のものがあしらわれているー
- 右上:「登城記念」、「天守登閣記念」、「国指定史跡」、「特別史跡」、「国宝」など、お城によって様々
- 中央:お城の名前(筆文字・墨書き)
- 左下:登城日
- 背景:城主の家紋(個人や親族を識別するために用いられる紋章)や花押(戦国武将などが発行した文書の最後に書くサインまたは記号)
また、城主の手紙や、日記から文字を写し取ったものが印刷されるデザインも。デザインを見比べるのも大きな醍醐味と言えるだろう。
香川県・丸亀城の御城印(1枚300円)は、最後の城主である京極高和の家紋「四つ目結」をあしらったデザイン 。
青森県・三戸城の御城印(1枚300円)は甲斐国(現在の山梨県)出身の氏族である南部氏の特徴的な家紋「向鶴紋 」が大きくデザインされている。
印刷に使う和紙からもお城ごとの個性が垣間見える。地元産の紙を使ったり、城主にちなんだ色の紙を使用したり、それぞれ風合い・指ざわり・厚さが異なる点も受領したときの楽しみだ。
また、例え同じお城でも季節や時期によってデザインが変わることも珍しくない。
「天下一の桜の名所」として有名な長野県・高遠城(高遠城址)は、桜の開花状況に合わせて4種類の桜色の御城印を順次販売。登城した時期にしか味わえない特別感に、コレクター魂に火が付きそう!
お城巡りの想い出を収納してくれる、御城印帳
御城印は紙のため、コレクターなら保管方法には気を付けたいところ。収納に役立つのが、「御城印帳」だ。御城印を整理するための御城印帳は主に「ポケット型」と「貼り付け型」の2タイプがあり、前者は透明収納ポケットが付属していて取り出しが自由になっているのに対し、後者はのりを使って直接貼り付ける必要がある。
また、収納目的だけではなく、城主や城郭など、そのお城の特徴をモチーフとしてデザインされているものもあり、コレクションとしての価値も高い。春に合わせて滋賀県・彦根城で発売された桜デザインの御城印帳は、乙女心をくすぐる一冊に仕上がっている!
日本では今、御城印がアツい!
御城印を扱っているお城が急増していることもあり、日本では「御城印ブーム」が到来中!
兵庫県・姫路城が「冬の特別公開」に合わせて発売した御城印が、販売開始から僅か10日間で10,000枚を突破し大きな話題となったり、神奈川県・小田原城で配布される限定御城印を買い求めるために数百人が朝から長蛇の列を作ったりと、御城印の人気はまだまだ加速中だ。
御城印の売り上げは各お城の維持管理、整備活用などに充てるだけではなく 、下記のように様々な用途で活用されるケースも多々ある。
人道支援
- 群馬県・沼田市観光協会はロシアの軍事侵攻が続くウクライナを人道支援するため、ウクライナ国旗の色や国花ヒマワリをあしらった沼田城の特別御城印(左)を1枚300円で販売し、売り上げの全額を在日ウクライナ大使館に寄附。
ボランティア活動支援
- 愛知県・大野城が2022年1月に発売したお正月限定の御城印の売り上げを、同県青海地区無料住民バスの運行」や「城山公園除草」などのボランティア活動の寄附金として全額活用。
復興支援
- 岐阜県・郡上八幡城及び佐賀県・唐津城では御城印の売り上げの一部を、2016年に発生した熊本地震で被害を受けた熊本県・熊本城の復興支援へ寄附。
御城印を詳しく知りたい人におすすめしたい本がこちら!
御城印を購入することによって、お城の歴史や背景を知ると同時に、手軽にお城も応援できる。何より1枚300円~と価格も安く旅の記念にもってこいなのだ!次回の訪日旅行に御城印を目当てにお城巡りをしてみてはいかがだろうか?御城印を集めている読者がいれば、ぜひコメント欄でシェアしてねー
今回取材にもご協力いただいたJTBパプリッシングから、御城印の基本を分かりやすく解説する書籍が出版されている。これから御城印を集めたい人はぜひ覗いてみてください!
はじめての御城印めぐり
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