日本(にほん)には、日本の国土創世譚(こくどそうせいたん)として親(した)しまれる「日本神話(にほんしんわ)」をはじめ、おとぎ話(ばなし)や、各地(かくち)に古(ふる)くから伝(つた)わる民話(みんわ)、伝説(でんせつ)があります。
そして、こうした神秘的(しんぴてき)な物語(ものがたり)や登場キャラクターは現在(げんざい)も人々(ひとびと)に愛(あい)され、映画(えいが)や舞台(ぶたい)、ビデオゲーム、漫画(まんが)、アート作品(さくひん)など、日本のエンターテインメントやアート・カルチャーシーンに影響を与え続けています。
とくに、こうした伝説や神話に登場するキャラクターは、変身(へんしん)できたり、山(やま)や海(うみ)、天候(てんこう)を支配(しはい)したり、動物(どうぶつ)と話(はなし)ができたりなど、超人的(ちょうじんてき)な能力(のうりょく)を持(も)つ存在(そんざい)として描(えが)かれます。また、こうしたキャラクターは、登場する物語によって、時(とき)には怪物(かいぶつ)のように恐(おそ)ろしい存在だったり、または擬人化(ぎじんか)されたり、キュートな外見(がいけん)で描かれたりと様々です。ここからは、昨今(さっこん)日本のマンガやTVアニメ、ゲームによく登場(とうじょう)する、神秘的(しんぴてき)な存在(そんざい)についてみていきます。
日本の神話に登場するさまざまなキャラクター
日本の神話や伝説には様々なキャラクターが登場しますが、なかでも有名なのが神様(かみさま)、鬼(おに)、妖怪(ようかい)などで、様々な種類(しゅるい)がいます。
もともと日本に古来からいる神様(かみさま)は、キリスト教のイエスやイスラム教のアッラーのような一神教(いっしんきょう)の神様(かみさま)ではありません。日本は、古(ふる)くから多神教(たしんきょう)の国(くに)で、日本固有(にほんこゆう)の神様には様々な神が存在(そんざい)します。現在の日本では、仏教(ぶっきょう)の信仰(しんこう)が一般的になっていますが、日本神話に登場する神々は、この日本固有の神様でした。
また、鬼(おに)や妖怪(ようかい)は、一般的(いっぱんてき)に超自然的(ちょうじんてき)な力(ちから)と外見(げいけん)を持つ非科学的(ひかがくてき)な存在(そんざい)です。不思議(ふしぎ)な自然現象(しぜんげんしょう)を起(お)こしたり、人間(にんげん)に影響(えいきょう)を与(あた)えるものも多(おお)いことから、物語の中では人間にいたずらを仕掛(しか)けたり悪(わる)さをするキャラクターとしてよく描(えが)かれます。
日本の神様 - Japanese Kami (Spirit Gods)
日本で”神”というと、日本固有の宗教(しゅうきょう)・神道(しんとう)に登場する神様のことを言(い)います。この神様は、仏教の仏(ほとけ)とは、区別(くべつ)されています。日本の神社は祭祀施設(さいししせつ)で、お寺(てら)は仏教(ぶっきょう)の仏像(ぶつぞう)が祀(まつ)られる施設(しせつ)で参拝(さんぱい)の仕方(しかた)も異(こと)なります。
日本文化における神様と仏様
日本には「八百万の神(やおよろずのかみ)」という言葉(ことば)があります。この言葉は、無限(むげん)に近(ちか)い数の神(かみ)がいることを表しています。特(とく)に、日本神話の主神(しゅしん)・天照大神(あまてらすおおみかみ)や素戔嗚尊(すさのおのみこと)などが有名(ゆうめい)です。
また現在(げんざい)は、神社(じんじゃ)や寺院(じいん)で様々(さまざま)な神様や仏様をお参りすることができます。特に有名な神様・仏様は以下です。
- 稲荷神(いなりしん / Inarishin): 稲(いね)を象徴(しょうちょう)する穀霊神(こくれいしん)で現在は産業全体の神様ともされています。お稲荷(いなり)様ともいう。「稲荷神社(いなりじんじゃ)」などに狐(きつね)が祀られるのは、キツネは稲荷神の神使(しと)とされているから
- 観音様(かんのんさま / Kannonsama): 仏教における観音菩薩(The goddess of mercy)のこと。十一面観音(じゅういちめんかんのん)や千手観音(せんじゅかんのん)など様々なお姿(おすがた)の観音様がいて、その神秘的なルックスからアニメやゲームのキャラクターとしても数多く描かれている。
- 地蔵(じぞう / Jizo): 仏教における地蔵菩薩(じぞうぼさつ)のこと。
- 七福神(しちふくじん): 福(ふく)をもたらす七柱(ななはしら)の神様(かみさま)のこと。恵比寿天(えびすてん / Ebisuten )や弁財天(べんざいてん / Benzaiten)などが特(とく)に有名(ゆうめい)。
- 龍神(Ryujin):川(かわ)、池(いけ)、滝(たき)など水(みず)をつかさどる神、龍の姿(すがた)をしている。
Kami in Popular Culture
こうした日本の神々は、これまでたくさんのアニメ、漫画(まんが)、映画(えいが)に登場(とうじょう)してきました。描かれる際は擬人化(ぎじんか)されることも多(おお)く、天照大神がかわいい女(おんな)の子(こ)になっていたり、スサノオが悪役として描かれたりしています。
- 漫画『夢幻伝説(むげんでんせつ)タカマガハラ(DREAM SAGA)』では、スサノオが地球(ちきゅう)を破壊(はかい)する破壊神(はかいしん)として描かれています
- 『NARUTO-ナルト-』には、「アマテラス」「ツキヨミ」「スサノオ」など、日本神話の神の名(な)を冠(かん)した忍術(にんじゅつ)が登場(とうじょう)します。
- 大人気(だいにんき)ゲーム『ファイナルファンタジーXIV』では、メインクエストのボスとしてスサノオやツクヨミが登場します。
- ジブリ映画「千と千尋の神隠し(せんとちひろのかみかくし)」では、主人公(しゅじんこう)の千尋(ちひろ)は、油屋(あぶらや)という利用客(りようきゃく)がすべて何(なん)らかの神様(かみさま)という不思議(ふしぎ)な温泉宿(おんせんやど)で働(はたら)くことになります。
日本の妖怪 - Japanese Yokai (Phantoms)
妖怪(ようかい)とは、各地(かくち)で伝承(でんしょう)される民間信仰(みんかんしんこう)に登場(とうじょう)する、人間(にんげん)の理解(りかい)を超(こ)える特殊能力(とくしゅのうりょく)などを持つ物の怪(もののけ)、魔物(まもの)。妖怪は、凶暴(きょうぼう)だったり恐(おそ)ろしいものから、いたずら好(ず)きなもの、人間と仲良(なかよ)しだったり、何(なに)かの作業(さぎょう)を手伝(てつだ)ってくれる友好(ゆうこう)なものもいます。また、見た目(みため)も人間(にんげん)や動物(どうぶつ)の一部(いちぶ)の姿(すがた)をとったり、物(もの)に宿(やど)るものなど様々(さまざま)です。
日本の歴史や伝統文化における妖怪の存在
妖怪の存在は、古くから日本人になじみ深いもので、歴史書(れきししょ)の中にも度々(たびたび)登場します。なかでも、妖怪が人間同様メインキャラクターとして描かれた歴史書で有名なのは『お伽草子(おとぎぞうし)』。『お伽草子』は、「浦島太郎(うらしまたたろう)」「一寸法師(いっすんほうし)」などの物語も収(おさ)められています。また、江戸時代の浮世絵でも妖怪はおなじみです。葛飾北斎(かつしか ほくさい)や歌川国芳(うたがわ くによし)などの浮世絵にも、多くの妖怪が描かれています。
- 天狗(てんぐ / Tengu): 長いくちばしを持った天の邪鬼(あまのじゃく)で、山伏(やまぶし)の服装(ふくそう)で描(えが)かれます。神のお使いとして神社に祀(まつ)られることも。
- 河童(かっぱ / Kappa): きゅうりが好(す)きないたずら好(ず)きの水(みず)の精霊(せいれい。日本のことわざで「※河童の川流れ」ということわざがある。
- 船幽霊(ふなゆうれい / Funayurei):海(うみ)で死(し)んだ人の幽霊(ゆうれい)。
- 化け草履(ばけぞうり / Bakezori): 古くなって粗末(そまつ)に捨(す)てられた草履(ぞうり)が妖怪化したもので、履き物(はきもの)を粗末(そまつ)に扱(あつか)う人間(にんげん)を脅(おど)かしたりする。同様に、捨てられた唐傘が恨みの力で妖怪へと変貌すると「から傘おばけ」になる。
※「泳ぎのうまい河童でも、水に押し流されることがある」つまり、その道の名人でも、時には失敗することがあるという例え
Popカルチャーの中の妖怪 - Yokai in Popular Culture
妖怪は多種多様で、日本のアニメやマンガ、その他Popカルチャーでも良く描かれます。また、海外でも知名度の高いものがあるので、あなたがどこかで見たことがあるキャラクターの中にも、妖怪がモチーフになっているものがあるかもしれません。
- 主人公が死(し)ぬところから物語が始まる大人気漫画(だいにんきまんが)「幽遊白書(ゆうゆうはくしょ)」。メイン4人のうちの1人「蔵馬(くらま)」は、もとは狐(きつね)の妖怪(ようかい)「妖狐(ようこ)」。
- 「あかなめ」は、バスタブやシャワーの垢(あか)をなめる妖怪(ようかい)。「ゲゲゲの鬼太郎(きたろう)」や「妖怪ウォッチ」に登場。
- 人気ゲーム・アニメの「ポケットモンスター」に登場するポケモン「ダーテング」は天狗のような姿。そして、そ天狗の中でも有名な鞍馬天狗(くらまてんぐ)は、時代小説のテーマにも使われ、TVドラマや映画化もされました。
- 妖怪の中でも人気の高いキャラクター・雪女(ゆきおんな)。青(あお)い髪(かみ)と白(しろ)い肌(はだ)の美女(びじょ)として描かれることが多く、そのストーリーは、ポケモンのキャラクター「ユキメノコ」や漫画「幽遊白書」の雪菜(ゆきな)といったキャラクターの設定(せってい)のもとになっています。
鬼 - Japanese Oni (Demons)
日本文化における鬼(おに)は、畏怖(いふ)の存在。漫画やアニメの中ではよく悪役(あくやく)として描かれます。
各地の祭(まつ)りや伝説行事(でんとうぎょうじ)でも、鬼が子供たちを怖(こわ)がらせるといったものもあります。厳密(げんみつ)には、鬼は妖怪の一種(いっしゅ)とされていますが、鬼には地獄のえんま大王(だいおう)に仕(つか)える者(もの)としての役割(やくわり)があり、一般的(いっぱんてき)には別物(べつもの)として扱(あつか)われています。
日本の伝統芸能や祭り文化でもよく用いられる鬼
日本の祭りや伝統文化における鬼は、大きくて筋肉質(きんにくしつ)で男性的(だんせいてき)。角(つの)があることが多く、欧米(おうべい)の悪魔(あくま)やトロールのような見(み)た目(め)で、顔は地獄のおそろしさを連想(れんそう)させます。
- なまはげ:秋田県(あきたけん)の男鹿半島(おがはんとう)周辺(しゅうへん)で行(おこな)われてきた年中行事(ねんちゅうぎょうじ)。「泣く子はいねがー」など大声(おおごえ)で叫(さけ)びながら地域(ちいき)の家々(いえいえ)を巡(めぐ)り子供(こども)たちを怖(こわ)がらせ、怠(なま)け心(ごころ)を起(お)こさないようさとす祭り。
- 別府温泉(べっぷおんせん)の地獄:大分県(おおいたけん)の別府温泉(べっぷおんせん)の名物(めいぶつ)はなんといっても地獄(じごく)めぐり! 入(い)り口(ぐち)には、旅行者(りょこうしゃ)を迎(むか)え入(い)れる赤(あか)と青(あお)の鬼(おに)のモニュメントが点在(てんざい)している。
- 節分(せつぶん)の鬼(おに)。毎年2月、人々は「鬼は外、福は内」と豆(まめ)を投(な)げつけて退散(たいさん)を叫(さけ)ぶ。
日本のポップカルチャーにおける鬼 - Oni in Pop Culture
鬼は、地獄(じごく)の番人(ばんにん)でもあり、昔話やお伽話では、悪役として描かれます。漫画やアニメ、ゲームのボスキャラクターとして描かれ、時には擬人化されます。
鬼が登場するアニメでいま最も話題なのが「鬼滅の刃」。また「ドラゴンボール」や「ドラゴンボールZ」には赤鬼と青鬼が登場します。その他、名作漫画「うる星やつら」のヒロイン・ラムは鬼型宇宙人の娘。特撮(とくさつ)テレビドラマ「仮面ライダー響鬼(ひびき)」では、鬼との戦いをテーマにしています。
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