古都(こと)・京都(きょうと)には、伝説(でんせつ)や神話(しんわ)がいっぱい残(のこ)っています!
そのなかには、本当(ほんとう)にあった心温(こころあたた)まる心霊話(しんれいばなし)も!今回(こんかい)は、日本人(にほんじん)にもあまり知られていないレアな物語(ものがたり)を紹介(しょうかい)します。
京都で起こった墓場の奇跡
物語(ものがたり)の舞台(ぶたい)は、約(やく)400年前(よんひゃくねんまえ)の京都(きょうと)。江戸時代(えどじだい)から
続(つづ)く、老舗(しにせ)の飴屋(あめや)の主人(しゅじん)が主人公(しゅじんこう)だ。
当時(とうじ)、その飴屋には、夜(よる)になると、店(みせ)が閉(し)まっていてもきまって飴(あめ)を買(か)いに来(く)る
女性客(じょせいきゃく)がいた。
この日も、その客はドアをトントントンッとノックして、
「飴を売(う)ってください」
と、訪(たず)ねてきた。
店主(てんしゅ)がドアと開(あ)け、
「こんな夜更(よふ)けに飴を買いに来(こ)られたんですか?」と言(い)ったら
「はい。お願(ねが)いです。飴を分けてください。」その女性が言う。
「じゃあ、ひとつだけですよ」と、店主はお金(かね)と引(ひ)き換(か)えに飴(あめ)を渡(わた)した。
その次(つぎ)の日(ひ)、深夜(しんや)になると、またドアをトントントンと叩(たた)く音(おと)がする。
主人がドアを開(あ)けると、またその女性(じょせい)が立(た)っていて、
「飴(あめ)をください」という。
「いやいや、こんな遅くに…。じゃあ、お金を出してください」と言うと、その女性が「お金がない」というのだ。
「お金がないなら、飴をあげられませんし、こんな夜(よる)遅(おそ)くに来られても…」と店主が困(こま)っていると、その女性は
着(き)ていた着物(きもの)の一番(いちばん)上(うえ)をパッと脱(ぬ)いで、
「この着物(きもの)と交換(こうかん)で飴をください」と言(い)った。
すると、店主は、「そうですか。わかりました」と言って飴をあげた。
翌日(よくじつ)、店主が着物を洗(あら)って店先(みせさき)に干(ほ)していると、通(とお)りすがりの男性(だんせい)が慌(あわ)てるように、店に入ってきて、こう言った。
「この着物どうしたんですか?」
「実はね、夜になるといつも飴を買いに来る女性の方がいて、お金がないからと言って、代(か)わりに着物を置いて行ったんです。その着物がこの干している着物です」
と店主が話すと、
「その娘(むすめ)さんは、もう亡くなっていますよ。これは、娘さんが生前(せいぜん)着てた物で、お墓(はか)に納(おさ)めるときに最後(さいご)に着せた着物です」という。
店主さんはびっくりして、
「え!…じゃあ、死んだ娘さんが毎晩(まいばん)、飴を買いに来(き)てたことになりますよ」
と言いながら、「もし今度買いに来たら、後(うし)ろをつけてみよう」と考えた。
次(つぎ)の日(ひ)、夜まで待(ま)ってると、またドアをノックする音が聞こえて、同(おな)じ女性客が店の前に立っていた。
「こんばんは。今日、飴は無料(むりょう)でいいですよ」
と店主が飴を上げると、その女性はお礼(れい)を言って、店を出て、どこかへ向かって歩いて行った。
店主が隠(かく)れながらずっとついていくと、とある寺(てら)の墓地(ぼち)の方(ほう)へ向(む)かっていくのが分(わ)かった。
その女性は、墓地の中に飴をもったまま入(はい)っていく。
店主さんが後をつけていくとどこからか、赤(あか)ちゃんの泣(な)き声が聞(き)こえてきた。
「おぎゃ~、おぎゃ~」
店主はとても怖(こわ)くなり、その後は女性を追わずに、すぐさま家に帰(かえ)ってしまった。
翌日(よくじつ)、前に声をかけられた男性(だんせい)と一緒にそのお墓(はか)を見に行くと、なんと亡くなった娘のお墓のところから、赤ちゃんの泣き声が!
慌てて墓を掘り返すと、そこには本物の赤ちゃんがいた!
実は、娘のおなかの中には赤ちゃんがいて、娘が病気で亡くなった後、赤ちゃんが墓土(はかつち)の中で生まれたらしい。その後、この赤ちゃんは立派なお坊さんとなり、その寺の住職にまでなったそうだ。
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この物語は、幽霊になった母親に飴をもらって育ててもらった子供の物語。
死んでもなお、自分の子を守り続ける母親の愛を感じる物語でした。もしかしたら、その子供も、お母さんにお経をあげるために、お坊さんになったかもしれないのですね。この物語にちなんで、京都には現在も、このストーリーにちなんだ「幽霊子育て飴」という商品があります。
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