歌舞伎の化粧 / Reasons for Kumadori makeup

  • Sept 5, 2024
  • Sept 7, 2021
  • Asami Koga


歌舞伎の化粧 / Reasons for Kumadori makeup

日本(にほん)の伝統芸能(でんとうげいのう)のひとつ、歌舞伎(かぶき)。
華やかな衣裳(いしょう)。そして、隈取(くまどり)をはじめ、鮮(あざ)やかな色彩(しきさい)のユニークな化粧(けしょう)が有名(ゆうめい)ですが、あなたは、あの化粧(けしょう)に意味(いみ)があることを知(し)っていますか?

今回(こんかい)は、化粧にスポットを当(あ)てて、その意味(いみ)を紹介(しょうかい)していきます。

役柄によって化粧は変わる

歌舞伎の役柄は、男役(おとこやく)全般(ぜんぱん)を表(あらわ)す立役(たちやく)の中(なか)でも、男女(だんじょ)の色恋(いろこい)を演(えん)じる二枚目(にまいめ)や、超人的(ちょうじんてき)なパワーを持(も)つスーパーヒーローの荒事 (あらごと)、敵役(かたきやく)など、様々(さまざま)な役(やく)に分(わ)かれており、さらに女性(じょせい)を演じる女方(おんながた)や、幽霊(ゆうれい)、獅子(しし)といった人間以外(にんげんいがい)の役柄(やくがら)も複数(ふくすう)存在(そんざい)します。

そして、それぞれの役柄(やくがら)に応(おう)じて化粧も異(こと)なります。化粧(けしょう)の仕方(しかた)によって、役の性格(せいかく)や身分(みぶん)がわかるようになっているのです。

歌舞伎の役柄の役柄の見分け方

歌舞伎メイクの一番(いちばん)最初(さいしょ)、まず俳優(はいゆう)は顔(かお)全体(ぜんたい)を1つの色(いろ)で塗(ぬ)りつぶします。
主役(しゅやく)は基本的(きほんてき)には顔を白粉(おしろい)で「真っ白」に塗ります。歌舞伎の世界では、白は高貴な色であり、神に選ばれた者の証。そのため、善人(ぜんにん)や高貴(こうき)な人は顔面(がんめん)を白(しろ)に塗りますまた、「色白美人(いろじろびじん)」という言葉(ことば)があるように、女形(おんながた)も顔面(がんめん)には白(しろ)を使(つか)います。
茶(ちゃ)に近(ちか)い肌色(はだいろ)は町人(ちょうにん)や悪人(あくにん)。赤(あか)は悪人(あくにん)の手下(てした)や家来(けらい)などを表現(ひょうげん)するため、顔の白い人が物語(ものがたり)の
主役やメインキャラクターなのが、一目瞭然(いちもくりょうぜん)です。

またかつて、歌舞伎の世界は大(おお)きく「菊五郎劇団系」(きくごろうげきだん/kikugorou gekidan)と「吉右衛門劇団系」(きちえもんげきだん/kichiemon gekidan)の2つの派閥(はばつ)があり、歌舞伎役者(かぶきやくしゃ)も家系(かけい)によってどちらかに属(ぞく)していました。
菊五郎劇団は、リアルな表現を特徴(とくちょう)とするため、女型(おんながた)でも顔を真っ白には塗らず、砥の粉(とのこ/tonoko)と呼ばれる粉(こな)を多めに入れて、人間(にんげん)の肌色(はだいろ)に近(ちか)づけるメイクをします。これに対(たい)して、吉右衛門劇団では、主役は真っ白に、脇役(わきやく)もかなり白く顔を塗(ぬ)ります。

※現在は、以前ほど厳密に分かれているわけではありません

Kabuki Maskでよく聞く化粧法「隈取」とは?

鮮やかな色彩の歌舞伎メイクの中(なか)でも、ひときわ強い印象を与えるのが「隈取(くまどり/kumadori)」です。
隈取は、白、茶、赤などのベースの色(いろ)を塗った顔に、筆(ふで)で線(せん)を引(ひ)き、指(ゆび)でぼかして顔の筋肉(きんにく)や血管(けっかん)を強調(きょうちょう)する化粧法(けしょうほう)で、人物(じんぶつ)の役割(やくわり)や感情(かんじょう)を表現(ひょうげん)します。

「隈」は光(ひかり)と影(かげ)の境目(さかいめ)を意味(いみ)する言葉(ことば)。歌舞伎の演目(えんもく)の中でも、「隈取」が使われるのは主(おも)に、「時代物」(じだいもの/jidaimono)です。「時代物」とは、設定(せってい)を江戸時代(えどじだい)の庶民(しょみん)の暮(く)らしからかけ離(はな)れた過去(かこ)の時代(じだい)にし、武家(ぶけ)や公卿(くげ)の社会(しゃかい)を題材(だいざい)にした物語(ものがたり)を描(えが)いたものです。

隈取りは役柄によって以下(い)のように描(か)き分(わ)けられます。

<色の描き分け>

[赤色]・・・正義や勇気を表現し、血気盛んな若さを意味し、その役が善人であることを表現します。

[青色]・・・冷酷さや悪を意味していて、敵役を表現するときに用いられます。

[茶色]・・・鬼や妖怪、精霊などの、人間ではない役に使われます。

「隈取」が使われる舞台は主に、江戸時代(えどじだい)に起(お)こった出来事(できごと)や事件(じけん)を古(ふる)い時代(じだい)の設定(せってい)に変(か)えて描(えが)く「時代物(じだいもの)」の演目(えんもく)です。歌舞伎の役柄は100通(とお)りぐらいあり、演目(えんもく)によってひとつひとつ違(ちが)います。さらに、同(おな)じ演目(えんもく)の中(なか)でも、場面(ばめん)によって少(すこ)し変(か)えられることもあります。また、役者(やくしゃ)の顔(かお)立(だ)ちや顔(かお)の大(おお)きさによってわずかに太(ふと)くしたり細(ほそ)くしたり、舞台(ぶたい)映(ば)えするようアレンジされる場合(ばあい)もあります。

歌舞伎役者の個性を表す化粧

歌舞伎役者は基本的(きほんてき)に自分(じぶん)で化粧をします。そのため、化粧には役者の好(この)みが表現(ひょうげん)され、役者(やくしゃ)の個性(こせい)となります。なかには、10分程度で化粧を終(お)える人(ひと)もいるそうです。
子役(こやく)の場合(ばあい)は、先輩(せんぱい)の役者に描いてもらいます。化粧を覚えるのも役者として一人前(いちにんまえ)になるためのステップです。
化粧はまず、下地(したじ)となる「鬢付け油(びんつけあぶら/bintsuke abura)」を顔(かお)と首(くび)やデコルテ部分(ぶぶん)に塗(ぬ)り、続(つづ)いて顔を白く塗ります。その上に、黒、赤、青の隈取を描いて行きます。線を描く時には、筆(ふで)、刷毛(はけ)、指(ゆび)などを使(つか)います。

歌舞伎に関する他の記事はこちら

日本の伝統芸能 歌舞伎とは?
https://www.fun-japan.jp/en/articles/12531

世界に誇れる日本文化の魅力7選 - The 7 best Japanese cultures
https://www.fun-japan.jp/jp/articles/6721

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