おいしくて健康に良い!日本の伝統食品・漬物とは

様々な食材を食塩、酢、酒粕、味噌、ぬかなど様々な漬け汁や漬け床に漬け込んだ漬物。和定食や丼ものに小鉢で添えられていたり、おにぎりの具材に用いられたり、ごはんのお供的に用いられる。食物繊維が豊富でうま味の詰まった野菜は一度食べると病みつきに!この記事では日本の伝統食品・漬物について紹介する。

漬物の歴史は古い!日本の昔ながらの伝統食品・漬物(Tsukemono)

日本人の食卓に欠かせない漬物。その歴史は古い。

日本史で最初に漬物に関する記録が登場するのは、奈良時代(710 – 794)。その中でも最盛期にあたる天平時代(729-749)の木簡には、瓜(うり)や青菜の塩漬けが記録されている。その後、大陸の文化が伝わって、酒や味噌などの調味料が作られるようになり、平安時代(794 - 1185年)に編纂された『延喜式』には、酢漬け、醤(ひしお)漬け、かす漬けや現代のたくあんの原形ともみられる「須々保利(すずぼり)」などの記録も。なんと、この時代には、現在の漬物の原型がすでに完成していたのだ!その後、室町時代になると、漬物は「香り高いもの」という意味の「香の物(こうのもの)」と呼ばれて親しまれ、江戸時代に入ると料亭や飯屋の増加に伴い、漬物業が生まれ、漬け方が載った書物も発行されている。

そして、京都のしば漬けや千枚漬け、秋田のいぶりがっこ、福岡県の高菜漬けなど、現在では、全国各地にご当地漬物が存在しおみやげ物の定番になっている。なんと、その数600種類以上!次の章からは、有名なご当地漬物にも用いられる様々な漬け方を紹介!

漬物作りのポイントは漬け方!食材や漬け方を紹介

ご飯や味噌汁と同様、日本食に欠かせない漬物。

ただ、漬物と一口に言っても、塩、酢、味噌、醤油など様々な調味料が使われ、ぬか漬けのように発酵させる物と、浅漬(梅干しや紅しょうが漬け、福神漬け)などのように、醤油や酢などの調味液に短期間漬け込み、染み込ませ太た物も存在する。

それぞれの漬け方によって、漬物の味や風味が異なるので、おみやげ物で購入する場合は、食材だけでなく漬け方もしっかりチェックしよう!

塩漬け(Shiozuke):Salt Pickling

最もシンプルな塩と水を使って野菜を保存する漬物の作り方。最も古くからある手法のひとつで、そのまま食べる塩漬けと、食材の保存方法としての塩蔵の二通りがある。そのまま食べる塩漬けの場合、もっとも定番なのはきゅうりや白菜の塩漬け。塩蔵食材は醤油漬け、酢漬けなどの調味料漬けに仕上げられる。

おみやげで多いのは、野沢菜漬け、高菜漬け、広島菜漬け、梅干し、キクの花漬け、桜の花漬け、など。

酢漬け(Suzuke):Vinegar Pickling

酢に漬け込んだ無発酵の漬物。歯ごたえを保ち、ピリッとした風味が生まれる。最も有名な例としては、寿司やチャーハンによく添えられる「ガリ」と呼ばれるしょうが漬け。新鮮で甘くすっきりした風味は口直しに最適だ。その他、カレーライスに添えられることの多いらっきょう漬けや京都の千枚漬けなども有名。

味噌漬け(Misozuke):Miso Pickling

塩蔵野菜を味噌で漬けたもの。京都の錦市場などの日本の市場では樽に付け込んである事が多い。味噌漬け(金婚漬け)、印籠漬け、養肝漬け(ようかんづけ)などが有名。

粕漬け(Kasuzuke): Sake Lees Pickling

お酒を絞った後にできる「酒粕」。この酒粕に塩蔵野菜を漬けたもので、本来廃棄されるはずのものを使い切れるだけでなく、旬の野菜を長期保存することもできる。奈良漬、わさび漬け、山海漬け、守口漬け、などが有名だ。

ぬか漬け(Nukazuke):Rice bran pickle

「こめぬか(米糠)」とは、「玄米」を精白する際に果皮・種皮などが破けて粉になったもの。ぬか漬けは、この米の副産物であるぬかにきゅうりやナス、ダイコンやカブなどの野菜を漬け込んだものだ。知名度の高いものとしては、たくあん漬け、いぶりがっこ、伊勢たくあん、日の菜漬け、寒漬け、山川漬け、ぬか味噌漬けなどがある。

一般的な漬物料理


梅干し(Umeboshi)最も一般的な漬物で、日本ではおにぎりや弁当の具材に用いられることも多い。梅の実を塩づけにした後で日干しにし、さらに梅酢につけて果肉を柔らかくした漬物。梅酢には赤シソの葉を加えて赤く着色させることが多い。
紅生姜(Beni Shoga)
真っ赤で、焼きそばやお好み焼きによく添えられるこの千切り生姜の色は、梅干しの塩水の残りからきている。
たくあん(Takuan)
大根を発酵させてぬかと塩で漬け込んだ漬物で、ごはんのお供としてよく使われる。米ぬかを使ったぬか漬けの代表格である。
福神漬(Fukujinzuke)
だいこんやれんこんなどの野菜を、醤油と砂糖やみりんで作った調味液で漬けた和製ピクルス。カレーに添えられる。

梅干しの塩分濃度

漬物を作るうえで最も重要なことは、塩分濃度だ。漬物の基本である野菜の「塩漬け」は野菜の塩蔵は通常、15%以上の塩分濃度で塩漬けにし、微生物による腐敗を防ぎ保存性を高める。

漬物の代表的な存在である梅干しでの、一般的な塩分濃度は10~15%。基本的に、使用する塩の量が多いと保存性も高くなり、少なくなると保存性も低くなる傾向があり、梅干しも塩分濃度が10%以下の低いものは水分が多くなり腐敗しやすいため早く食べる必要がある。

一方、塩分濃度が20%以上のものは保存性は高いが、濃い味が苦手な場合はしょっぱく感じる可能性も。また、高い塩分濃度のものを長期保存していると、どんどん塩分が梅に入り込んでしまい梅がしわしわに縮んでしまうので要注意

漬物の楽しみ方

日本で和食や弁当を注文すると、ご飯に添えられていることの多い漬物。主菜でも副菜でもなく、あくまでもご飯の添え物という存在だが、白いごはんやおかずと合わせて食べれば、食事をよりおいしく変化させられ、ビタミン類や食物繊維、ミネラルなどの栄養補給にも役立つ、日本の食卓に欠かせない存在だ。

漬物は、和食レストランではもちろん日本のスーパーマーケットやコンビニエンスストアにも、様々な種類の漬物が揃っているので、食事に取り入れてみるのもおすすめ。保存がきくので漬物屋には常に最高の商品が揃っている!

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