日本人の名字は、12世紀末以降に定着し、現代では日本国民全員が名字を持っています。日本国民は一般的に、「名字一つ」+「名前一つ」という組み合わせで戸籍に登録されています。日本国民のすべてが、先祖から受け継がれた名字を名乗り、ほとんどの家に家紋が伝えられています。
では、日本の名字がどのように誕生したか、それぞれの名前にどんな意味があるのか?見ていきましょう。
姓名の並び方
姓と呼ばれるfamily nameと、名と呼ばれるfirst nameがあります。しかし、先にfamily name、次にfirst nameという並びです。「個」よりも「属する団体」を重んじる日本人らしく、まずは「属する団体」を先に名乗るようです。
歴史
9世紀の天皇から与えられたもので、勝手に変えることはできませんでした。当初は貴族や武士達のみが使っていましたが、次第に庶民の間にも広がって、家と家を区別するものとして使われるようになりました。
明治時代に入り3年目の1870年になると、戸籍制度による近代化を重視する大蔵省の主導により、国民はみな公的に姓を持つことになりました。
現代は、法律上は「氏」一般的には「姓」と言います。
最初の苗字のつけ方
明治時代になって戸籍制度が導入された際に、各家族が正式に「姓」と「名」を登録しました。その際にどのように「姓」をつけたのでしょうか?大きく分けて、以下の7つの方法があったそうです。
地名に由来する名字
住んでいる地名から選ぶ方法。例えば、下記の名前です。
- 伊東(いとう):静岡県伊東市
- 稲垣(いながき):三重県津市の地名
- 香川(かがわ):神奈川県茅ヶ崎市の地名
- 葛西(かさい):東京都葛飾区・江戸川区付近にあった地名
- 諏訪(すわ):長野県諏訪市付近の地名
- 相馬(そうま):茨城県南部にあった地名
- 夏目(なつめ):長野市の地名
- 長谷川(はせがわ):奈良県桜井市の初瀬川付近
- 三浦(みうら):神奈川県三浦半島
- 水野(みずの):愛知県瀬戸市の地名
- 渡辺・渡部(わたなべ・わたべ):ともに大阪市にあった地名。現在はない。
地形や風景に由来する名字
住んでいる土地の地形や、住んでいる土地から見える風景などから選ぶ方法
- 山田(やまだ)、林(はやし)、山崎(やまざき)、森(もり)、山下(やました):山や森に由来する名字
- 池田(いけだ)、小川(おがわ)、川崎(かわさき)、吉川(よしかわ)、広瀬(ひろせ):川や池に由来する名字
- 浜口(はまぐち)、入江(いりえ)、浜崎(はまざき)、浜(はま):海に由来する名字
- 井上(いのうえ)、清水・(しみず)、石井(いしい)、藤井(ふじい)、今井(いまい):水汲み場に由来する名字
- 宮崎(みやざき)、宮本(みやもと)、宮田(みやた)、寺田(てらだ)、宮下(みやした):寺社に由来する名字
方位や方角に由来する名字
基本的には地形由来の名字と同じで、同じ土地の中での家の位置関係を示すために、「東西南北」を取り入れたといわれています。「前後奥」「上中下」「右左」などもこの中に含まれます。
- 西村(にしむら):村の西側が由来と推測されます
- 北川(きたがわ):川の北側が由来と推測されます
- 前田(まえだ):田の前側が由来と推測されます
職業に由来する名字
公的な職業を名字としたものも多数あります。
- 犬養(いぬかい)、鳥飼(とりかい)、鵜飼(うかい):犬や鳥、鵜を飼っていたため
- 大蔵(おおくら):蔵(貯蔵庫や武器庫などを指す)を管理していたため
- 庄司(しょうじ)、公文(くもん):荘園の管理をしていたため
藤のつく名字
平安時代に国を支配していた藤原氏の子孫の姓には、「藤」という漢字が使われており、日本でもっとも数が多い姓でもあります。
- 後藤(ごとう)、内藤(ないとう)、加藤(かとう)、伊藤(いとう)、斎藤(さいとう)
僧侶の名字
仏教用語や経典にある言葉を名字として採用しています。
- 釈(しゃく)、梵(そよぎ)
拝領した名字
戦で功績をあげた時などに、主君から褒美として姓を与えられたことがあったようです。
- 伊木(いぎ):織田信長が美濃の伊木山城を攻めた際、功をあげた2人の家臣に与えた苗字
- 小粥(こがゆ):徳川家康に粥を振るまったことから与えられた静岡県の市民の苗字
- 砂糖(さとう):江戸時代、殿様に砂糖を献上したら与えられた市民の苗字
名前のつけ方
古来より、姓と異なり、時代の流行が反映される名前。現代の日本人の親は、その年に活躍した著名人の名前にあやかる傾向があります。詳細はこちらの記事でお楽しみください。ランキング形式で紹介しています。
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